【ルネサンス美術】フィレンツェ派とヴェネツィア派!?〜社会人の教養を磨く絵画10選〜

2021年1月9日

 

ロマネスク・ゴシックの記事では、キリスト教を普及する手段として教会建築やキリスト教絵画が貢献した歴史を説明しました。

ロマネスク美術とゴシック美術の違いを写真付きで解説!ヨーロッパ建築を中世ヨーロッパ史から読み解こう

  476年の西ローマ帝国滅亡(ローマ帝国の東西分裂は395年)からヨーロッパは「中世」の時代に突入します。古代ギリシャ・ローマの記事では当時の美術として彫刻を紹介しましたが、この記事ではロ ...

1434年にメディチ家(コジモ・デ・メディチ)がイタリアのフィレンツェで支配を確立すると、莫大な財力を持つメディチ家の支援のもとで、フィレンツェからルネサンスが一気に花開きます。

西洋美術史で「ルネサンス」と聞けば、ルネサンス三代巨匠「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ミケランジェロ」「ラファエロ」を思い浮かべますか?

彼らはフィレンツェで活躍した芸術家たちですが、実はイタリアのルネサンス美術は「フィレンツェ派」と「ヴェネツィア派」に分かれます。

この記事では、フィレンツェ派とヴェネツィア派の絵画10選を紹介、社会人として美術の教養を磨きましょう!

 

 

フィレンツェ派

フィレンツェで活躍した芸術家の作品は、遠近法や人体表現に卓越しています。

また、ルネサンスは古代ギリシャ・ローマの美術の再生を意味していて、神様から人間を中心にした考えで芸術作品を生み出します。

これは、ロマネスク・ゴシック時代にキリスト教を普及させるために美術があったのと比べて、大きな違いです

フィレンツェ派の特徴

  • 人体表現
  • 遠近法(奥行きを出す)
  • 神様中心から人間中心へ
  • 古代ギリシャ・ローマの美術を再生

レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』

 

レオナルドが20代前半で描いた作品が『受胎告知』です。

新約聖書「ルカによる福音書」で、大天使ガブリエルが聖母マリアに「あなたは神の子(イエス・キリスト)を妊娠した」と伝える場面を描いています。

受胎告知はロマネスク・ゴシック時代から何度も描かれてきたテーマですが、大天使ガブリエルと聖母マリアを人間らしく描いたのがレオナルドの新しい試みでした

さらに、空気遠近法と呼ばれる手法を使い、大天使ガブリエルと聖母マリアの間にある、風景の山も巧みに描かれています。

「空気遠近法」とは?

空気遠近法とは、遠くに見えるモノほど空気の影響でかすんで見えたり、淡い色に見える人間の目の特徴を踏まえて、色の濃淡で平面に奥行きを出す手法です。

レオナルド以前は「宗教画の目的は神様を描くことであり、風景を描く必要はない」という常識でしたが、レオナルドは自分が見た光景をそのまま描き、美術史に新しい風を吹き込んだのです。

豆知識

『受胎告知』は正面ではなく、聖母マリアのいる右側から見ることを想定して描かれています。当時、『受胎告知』は聖バルトロメオ修道院の聖具室に飾られ、聖具室の入り口から最も美しく見れるようにデザインされてからです。

レオナルドがフィレンツェ芸術のスター階段を駆け上がるキッカケになった作品、それが20代前半で完成した『受胎告知』なのです!

絵画情報

  • 作品:受胎告知(Annunciation)
  • 画家:レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo Da Vinci)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:油絵(Oil on wood)
  • 完成:1472年

ボッティチェッリ『プリマヴェーラ』

 

ボッティチェッリが35歳で描いた作品が『プリマヴェーラ』です。

プリマヴェーラはイタリア語で「春」を意味します。

ボッティチェッリはルネサンス三代巨匠と並ぶ有名画家で、メディチ家の庇護のもと大活躍した最初の画家です。

彼は「輪郭線をぼかす」ことでリアルに描くことを大切にしていて、テンペラグラッサと呼ばれる手法(絵の具)でプリマヴェーラを完成させました

「テンペラグラッサ」とは?

テンペラグラッサとは、ゴシック時代に普及した卵黄テンペラの欠点(ぼかし技法が使えない)を補うために、ルネサンス期に考案された技法です。ゴシック絵画はキリスト教の荘厳さを強調するために、金箔を背景に卵黄テンペラ絵の具で描いていました。

絵画の構成ですが、中央に愛の女神ヴィーナスを配置していますが、実は右から左へストーリーが展開されています。

右端で西風の神ゼピュロスがクローリスという女性に襲いかかろうとしています(クローリスの顔からは恐怖心が読み取れます)。

しかし、西風の神ゼピュロスは自分の罪を悔い改め、クローリスを春の神フローラ(右から3番目の女性)へと生まれ変わらせるのです。

女神ヴィーナスの頭上には、目隠しをした恋の神キューピットが三人の美女を弓矢で狙っています。

美女たちの左側には、オリュンポス十二神でゼウスの使いであるヘルメスが上を見上げています。

最高神ゼウスは別名「浮気の神」とも呼ばれていて、美女たちを狙っているのかもしれません。

豆知識

『プリマヴェーラ』は右から左に流れる物語になっています。絵画が本当に伝えたいことは議論され続けていますが、愛・平和・繁栄を示していることは明らかだとされています。

絵画情報

  • 作品:プリマヴェーラ(Primavera)
  • 画家:ボッティチェッリ(Botticelli)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:テンペラグラッサ(Tempera grassa on wood)
  • 完成:1480年

ボッティチェッリ『ヴィーナス誕生』

 

ギリシャ神話に登場する美の女神ヴィーナスが、帆立貝に乗ってギリシャの小さな島「シテール島」にたどり着く場面を描いています。

キリスト教の神であるイエス・キリストではなく、多神教のギリシャ神話に出てくる女神ヴィーナスを題材にしたことが、ルネサンスを象徴することでした

多神教のギリシャ神話を題材にした絵画の場合、どの神様が描かれているかを判断するのは難しいです。

『ヴィーナス誕生』には帆立貝が出てきますので「帆立貝のアトリビュートは女神ヴィーナスだから、描かれているのはヴィーナスだ!」と理解できます。

「アトリビュート」とは?

アトリビュートとは、登場人物が誰であるかを特定するための象徴のことです。女神ヴィーナスは帆立貝以外にも、バラやイルカ、白鳥などのアトリビュートを持っています。

西風の神ゼピュロスは左側から風を送り,ゼピュロスが抱き抱える花の女神クロリス(ラテン語でフローラ)はバラを撒き散らしています。

宗教がでバラのアトリビュートになるのは、聖書では聖母マリア、ギリシャ神話ではアフロディーテと、同じバラでもアトリビュートが違うのは面白いですね。

季節の女神ホーラは右側から裸のアフロディーテにガウンを着せようとしています.

豆知識

愛の神ヴィーナスの誕生エピソードをご存知ですか?ギリシャ神話の最高神ゼウスの父「クロノス」が、ゼウスの祖父(クロノスの父)である「ウラノス」の男根を切り落とし、その男根を海に投げ捨て、海の中の男根からヴィーナスが誕生しました。

ちなみに、ヴィーナスは英語読み、ギリシャ語ではアフロディーテ、ラテン語ではウェヌスと呼ばれています。

同じ神様でも呼び名が複数あることを頭の片隅に置いておきましょう!

絵画情報

  • 作品:ヴィーナス誕生(The Birth of Venus)
  • 画家:ボッティチェッリ(Botticelli)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:テンペラ(Tempera on canvas)
  • 完成:1485年

レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』

 

『モナ・リザ』と並んでレオナルドの最高傑作と評価されるのが『最後の晩餐』です。

イエス・キリストが12人使徒と夕食を共にしている最中に「この中に裏切り者がいる」とイエス・キリストが告げると、弟子たちが落ち着きをなくして、ざわつく場面を描いています。

中央に座るイエス・キリストから左に向かって3番目の男が裏切り者の「ユダ」です。

顔が隠れていますが、イエス・キリストを裏切る対価として、銀貨30枚が入った袋を右手で握りしめています

豆知識

レオナルド以前にも最後の晩餐は描かれましたが、パッと見て誰がユダ裏切り者のユダか分からないように描いたのは、レオナルドが初めてでした。

2020年8月、サンタ・マリア・デッレ・グラッツェ修道院で最後の晩餐を見学してきました。

修道院の様子は↓のYouTube動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=faBbumuWG6A

絵画情報

  • 作品:最後の晩餐(The Last Supper)
  • 画家:レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo Da Vinci)
  • 場所:サンタ・マリア・デッレ・グラッツェ修道院(イタリア、ミラノ)
  • 技法:油絵 & テンペラ(Oil and tempera mixed on wall)
  • 完成:1498年

ミケランジェロ『ダビデ像』

 

ミケランジェロの傑作、イスラエル王になる英雄ダビデの彫刻です。

元々ダビデは羊飼いでしたが、イスラエルとペリシテの戦争で「ゴリアテ」という巨大戦士を石ひとつで倒し、そこからイスラエルの王にまで駆け上がりました。

左手にゴリアテを倒す石を持ち、右足に軽く重心をかけた立ち姿はルネサンス期に「コントラポスト」と呼ばれ、古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻家が目指した理想的な人体美を表現しています

「コントラポスト」とは?

コントラポストとは、片足に重心をかけて自然な動きを表現するスタイルのことです。古代ギリシャのクラシック期に彫刻の理想として普及し、ルネサンス期に「コントラポスト」と呼ばれました。

ミケランジェロは、ダビデ像を正面からではなく、正面に向かって右側、下から見上げると最も美しく見えるように設計しています。

ダビデ像の体長が5メートルと巨大なのは、ダビデ像を最も美しい角度で鑑賞するためでした。

豆知識

ミケランジェロのダビデ象は体長5メートルの巨大な作品です。眼がハートマークになっているのが遊び心です。

絵画情報

  • 作品:ダビデ像(David)
  • 画家:ミケランジェロ(Michelangelo)
  • 場所:アカデミア美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:彫刻(Sculpture)
  • 完成:1504年

ミケランジェロ『聖家族』

 

ミケランジェロが完成させた絵画(パネル画)の中で、絵画の説明が残っている唯一の作品(only documented panel painting)が『聖家族』です。

フィレンツェの商人「アーニョロ・ドーニ」が娘の誕生を記念して、ミケランジェロに依頼した作品だと言われています。

ミケランジェロは「自分は彫刻が得意で、絵画はあまり得意ではない」と自分を評価していました

そんな彼が、絵画作りに取り組んだのは、アーニョロ・ドーニから多額の制作費を貰っていたことが理由かもしれません。

豆知識

画家が創作活動(生活)を続けるには経済的な援助が必要です。自分が得意・好きでない芸術作品でも、お金に困っていたら仕事として引き受けるのかもしれません。

絵画情報

  • 作品:聖家族(Doni Tondo)
  • 画家:ミケランジェロ(Michelangelo)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:テンペラグラッサ(Tempera grassa on wood)
  • 完成:1507年

ラファエロ『アーニョロ&マッダレーナ・ドーニの肖像』

 

ラファエロが描いた肖像画の中で、夫婦をそろって描いた唯一の作品が『アーニョロ・ドーニの肖像』と『マッダレーナ・ドーニの肖像』です

ミケランジェロの『聖家族』でも紹介したフィレンツェの商人「アーニョロ・ドーニ」がラファエロに制作を依頼しました。

レオナルドの傑作『モナ・リザ』と似たような構図になっていて、ラファエロがレオナルドから大きなインスピレーションを得ているのが読み取れます。

また、夫婦それぞれの肖像画の裏面にも特徴があることで有名です。

左側の夫アーニョロ肖像画の裏面には「洪水」が、右側の妻マッダレーナ肖像画の裏面には「人類の再生」が描かれています(ご参考:ウフィツィ美術館の解説)。

表と裏の両方から楽しめる絵画はとても珍しく、ラファエロの数ある作品の中でも『アーニョロ & マッダレーナ・ドーニの肖像』が有名で評価されている理由のひとつです。

豆知識

ラファエロは素晴らしい作品を数多く創作しましたが、絵画の表と裏の両方を楽しめる作品は非常に珍しいです。

絵画情報

  • 作品:アーニョロ & マッダレーナ・ドーニの肖像(Portrait of Agnolo & Maddalena Doni)
  • 画家:ラファエロ(Raphael)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:油絵(Oil on wood)
  • 完成:1506-07年

ラファエロ『アテナイの学堂』

 

古代ギリシャの哲学者がアテナイ(アテネ)の学堂に集まった様子を描いたのが『アテナイの学堂』です。

中央左側で右手を上に指しているのが哲学者プラトン、中央右側で右手を前に出しているのが万学の祖アリストテレスです。

プラトンはレオナルド・ダ・ヴィンチを、アリストテレスはミケランジェロをモデルにしたと言われており、ラファエロが二人を尊敬していたと読み取れます

ルネサンスは「古代ギリシャ・ローマの再生」を意味しますが、『アテナイの学堂』ほど古代ギリシャとルネサンスを巧みに融合させた作品はないかもしれません。

豆知識

古代ギリシャのアテナイ(アテネ)の学堂と哲学者たちを題材にしたことで、ルネサンス期を代表する傑作のひとつとして『アテナイの学堂』は評価されています。

絵画情報

  • 作品:アテナイの学堂(The School of Athens)
  • 画家:ラファエロ(Raphael)
  • 場所:バチカン宮殿(イタリア、バチカン市国)
  • 技法:フレスコ(Fresco)
  • 完成:1511年

ヴェネツィア派

イタリアのルネサンス期にフィレンツェと並んで芸術が発展したのが、水の都ヴェネツィアです。

ヴェネツィアは海洋国家として地中海貿易で栄え、世界各国から人が集まる国際都市でした。

商業が中心の都市だったので、多くの貿易商人が絵画を買い求めました。

自由闊達に幅広い対象が絵画として創作され、フィレンツェよりも鮮やかな色彩で描かれました。

ヴェネツィア派の特徴

  • 色鮮やかな色彩
  • 自然に近い情景
  • 自由で伸びやかな筆触
  • 公私を問わず様々な主題の絵画

ベッリーニ『総督レオナルド・ロレダンの肖像』

 

ベッリーニがヴェネツィア共和国の総督「レオナルド・ロレダン」を描いた作品です。

ヴェネツィア派を代表する画家ベッリーニは、数多くの肖像画を創作していますが、『総督レオナルド・ロレダンの肖像』が代表作だと評価されています。

レオナルド・ロレダンは1501年に総督に就任、同年にベッリーニが肖像画を描きました。

年齢相応でありのままの姿を表現しつつ、滑らかな筆触で描いているのは、ヴェネツィア派らしいと言えます

豆知識

イタリアの肖像画は横顔が一般的で、横顔こそが人の特徴を表すと考えられていました。イタリアの肖像画が正面(四分の三正面)を向き始めたのは、フランドル地方の肖像画形式がイタリアに伝わったルネサンス期からです。

絵画情報

  • 作品:総督レオナルド・ロレダンの肖像(Portrait of Doge Leonardo Loredan)
  • 画家:ベッリーニ(Bellini)
  • 場所:ナショナル・ギャラリー(イギリス、ロンドン)
  • 技法:油絵(Oil on panel)
  • 完成:1501年

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』

 

絵画鑑賞者を誘惑するような裸の新婦を描いた作品が、ティツィアーノの代表作『ウルビーノのヴィーナス』です。

裸の新婦は後方で召使が衣服を探しているのを待ち、退屈な時間を持て余すような表情をしています。

誠実を示す「犬」は眠りに落ちていて、裸を恥じる様子が微塵も見られません。

愛の神「ヴィーナス」はギリシャ神話で浮気もしていましたが、ウルビーノ(フィレンツェ共和国の東にある公国)の「ヴィーナス」も浮気性だったのかもしれません。

豆知識

ギリシャ神話の神の名前が絵画タイトルに出てきたら、絵画とギリシャ神話の関係性や共通点を探ってみると、絵画を見るのがより楽しくなります。

絵画情報

  • 作品:ウルビーノのヴィーナス(Venus of Urbino)
  • 画家:ティツィアーノ(Titian)
  • 場所:ウフィツィ美術館(イタリア、フィレンツェ)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1538年

ルネサンス関連のオススメ書籍3選

名画の読解力

 

西洋絵画の代表作や歴史を分かりやすく解説したのが、田中久美子さんが2018年に発売した『名画の読解力:教養のある人は西洋美術のどこを楽しんでいるのか』です。

西洋絵画は歴史的にキリスト教と深く関わっているので、聖書やギリシャ神話を少し知っているだけで、絵画の見方が変わり、絵画を楽しめると教えてくれます。

西洋絵画の代表作を7つ選び、ひとつひとつ丁寧に解説していますので、絵画の見方の「テンプレート」として使うのがオススメです

なお、Kindle Unlimitedに加入すると、このような美術に関する書籍が無料で読めるようになるのでおすすめです。30日間の無料体験を利用してどんな書籍があるか見てみるといいですよ。

ヨコで読む大人の世界史


 

西洋絵画を楽しむために必要な世界史の知識を分かりやすく教えてくれるのが、斎藤整さんが2020年に出版した『ヨコで読む大人の世界史』です。

斎藤整さんの本が初心者にも読みやすく、『YouTube大学』で有名な中田敦彦さんの世界史の授業でも斎藤整さんの本を参考にしています。

西洋絵画の歴史的背景を知れば、絵画鑑賞がとても楽しくなりますよ!

イタリア24の都市の物語

 

イタリア各都市の特徴を物語で解説してくれるのが、池上英洋さんが2010年に執筆した『イタリア24の都市の物語です。

この本の特徴は、男性と女性それぞれにスポットライトを当て、「男たちの物語」と「女たちの物語」という2つの視点からイタリア各都市を解説していることです。

男性も女性も共感できる構成・内容になっているので、物語を楽しみながらイタリア各都市の歴史を学べるのがGOODです。

ルネサンス時代の主な出来事

西洋美術史において、ルネサンス期は15〜16世紀とされますが、具体的に〇〇年〜〇〇年という区分は確立されていません。

フィレンツェとヴェネツィア、それぞれに関係する歴史上の主な出来事をピックアップし、便宜的に時代を区分してみました。

絵画を深く理解して楽しむために、歴史の流れを理解しておきましょう(^^)




フィレンツェ派

  • メディチ家が芸術家を支援する時代:1434年〜1494年
    1434年:コジモ・デ・メディチがフィレンツェで支配を確立
    1453年:東ローマ帝国滅亡(オスマン帝国がコンスタンティノーブルを征服)
    1469年:ロレンツォ・デ・メディチがフィレンツェを支配(ルネサンス黄金期へ)
    1494年:メディチ家がフィレンツェから追放
  • ローマ教皇が芸術家を支援する時代:1494年〜1527年
    1515年:サン・ピエトロ大聖堂の改修費用を集めるためにレオ10世が贖宥状を発売
    1517年:ドイツ人のマルティン・ルターが「95ヶ条の論題」で贖宥状に抗議
    1519年:ルネサンス三代巨匠の「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が死去
    1520年:ルネサンス三代巨匠の「ラファエロ」が死去
    1521年:ローマ教皇レオ10世が死去
    1527年:神聖ローマ帝国がローマ侵略
    1564年:ルネサンス三代巨匠の「ミケランジェロ」が死去

ヴェネツィア派

  • ヴェネツィアが貿易を制した時代:1423年〜1492年
    1423年:ヴェネツィア総督にフランチェスコ・フォスカリが就任
    1453年:東ローマ帝国滅亡(ヴェネツィアはオスマン帝国との独占貿易を継続)
    1470年:ヴェネツィアの植民地エヴィア島(ネグロポンテ)をオスマン帝国が征服
  • スペイン・ポルトガルが貿易を制する時代:1492年〜1538年
    1492年:スペイン王室の援助を受けてコロンブスが西インド諸島を発見
    1494年:トルデシリャス条約(ポルトガル・スペインの大航海時代スタート)
    1499年:ポルトガル人のヴァスコ・ダ・ガマがインドへ航海
    1499年:スペイン船に乗ったアメリゴ・ヴェスプッチがアメリカ大陸を発見
    1522年:ポルトガル人のマゼランが世界一周
    1533年:スペインがインカ帝国を征服
  • オスマン帝国が地中海貿易を支配する時代:1538年〜1576年
    1538年:プレウェザの海戦(オスマン帝国が地中海の制海権を獲得)
    1545年:スペインがポトシ銀山(現在のボリビア)を発見
    1571年:レパントの海戦
    1576年:ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノが死去

ルネサンス時代の有名画家一覧

ルネサンス時代の有名画家

参考URL

参考URL

最後に

フィレンツェ派とヴェネチア派の芸術に関する解説はいかがでしたか?

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。