こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第1回として、財務諸表の基本的な英語用語をやさしく解説します。
IFRS(国際会計基準)とUS-GAAP(米国で適用される会計基準)それぞれの英語表現ついて学んでいきます。
豆知識
IFRSは"International Financial Reporting Standards"の略、US-GAAPは"United States - Generally Accepted Accounting Principles"の略です。
財務諸表は英語でなんて言うの?
会社は財政状態や経営成績を明らかにするため、四半期もしくは年に一回財務諸表を作成します。
皆さんがよく知っている、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」のことですね。(この3つで財務三表と呼ばれます。)
では、財務諸表は英語でなんと言うのでしょうか?
"Financial Statements"です。IFRSもUS-GAAPも同じ表現を使います。
"financial"は「金融の、財務の」という意味で、"finance"(ファイナンス、金融、財務)の形容詞です。
発音は「ファイナンシャル」で問題ありません。(ご参考:Cambridge Dictionary)
「みずほ『フィナンシャル』グループ」に引っ張られないようにしてください。
"statement"は「声明、発表」という意味です。本質的には、"state(述べる)"すること。またはその文書のことです。会計英語では「計算書」を意味します。
直訳すると「財務についての文書・計算書」、つまり財務諸表のことですね。
ココに注意
Financial Statementsと必ず複数形になるので注意してください。
貸借対照表は英語でなんて言うの?
貸借対照表はIFRSとUSGAAPで表現が異なります。
IFRS:Statement of financial position
IFRSでは"Statement of financial position"といいます。
Financial position(財務の状態)についての文書・計算書ということですね。
貸借対照表は、ある一時点の資産や負債、純資産の状況を説明するものですから、「財務の状態に関する文書・計算書」は文字どおりのわかりやすい表現です。
ただ事前に知識として知っておかないと、ビジネスの現場で急に出てきたときに分からず困ってしまうかもしれません。これを機会に覚えてしまいましょう。
"Statement of financial position"は単語として長いので、頭文字をとってSOFPと省略することがあります。
US-GAAP:Balance sheet
貸借対照表の英語表現は、US-GAAPの"Balance sheet"の方が有名ですね。
「バランスシート」はもはや一般的なビジネス用語になっています。社会人はもちろん、卒業を控えている大学生は教養として覚えておきましょう。
管理部門の方であればバランスシートを省略して「B/S」と呼んでいるかもしれません。
職場で「ビーエス」「ビーエス」と聞こえたら貸借対照表のことを言っていると思ってください。
バランスシートと呼ぶ理由は、「いつも貸借が一致するシートだから」といわれています。
英語での解説になりますが、Investopediaで常に貸借が一致する理由を解説していますので、興味のある方はご一読ください。
イギリスの職場から
イギリスの職場では貸借対照表をBalance sheetと呼びます。日本のように「ビーエス」とは省略しません。職場に合った呼び方を心掛けましょう。
損益計算書は英語でなんて言うの?
損益計算書もIFRSとUS-GAAPで英語表現が異なります。
IFRS:Statement of profit or loss
IFRSでは損益計算書を"Statement of profit or loss"といいます。"statement"は上で説明した通り「文書・計算書」のことです。
"profit"は「利益」、"loss"は「損失」という意味です。
"Statement of profit or loss"で収益から費用を引いた残りの「利益/損失に関する文書・計算書」という意味になります。
ちなみに似たような単語で、「収益」は"revenue"(発音:レヴェニュー)、「費用」は"expense"(発音:エクスペンス)というので、それぞれ混同しないように注意してください。
US-GAAP:Income Statement
US-GAAPでは"Income statement"といいます。
"income"は「利益」という意味です。US-GAAPはIFRSと異なり、利益は"profit"ではなく"income"というという専門用語で統一しています。
つまり"Income statement"で「利益に関する文書・計算書」ということですね。
読者からの質問
損益計算書って「P/L」じゃないの?
よくご存じですね。ビジネスの世界では損益計算書はP/Lと呼ばれています。
何の略だろう?と気になった方もいるかもしれません。
P/Lは「Profit and Loss Statement」の略です。この表現も正しいです。
職場で「ピーエル」「ピーエル」と聞こえたら損益計算書のことを話していると思ってください。
イギリスの職場から
イギリスの職場では損益計算書を"P&L"と呼びます。読み方は「ピーエンドエル」です。
キャッシュフロー計算書は英語でなんて言うの?
IFRS、US-GAAPいずれもキャッシュフロー計算書は"Statement of cash flows"といいます。"statement"は何度も出てきましたが「文書・計算書」という意味です。
キャッシュフローはそのまま「cash flow」と訳しますが、flowの最後に複数形のsが付く点に注意してください。
flowsが複数形なのは、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローのそれぞれの区分ごとに複数のキャッシュフロー項目が表示されているからです。
ココに注意
Cash flowsと必ず複数形になるので注意してください。
なお、「Cash flow statement」という言い方もよく使われますので、合わせて覚えておきましょう。(ややこしいですが、この場合は複数形の"s"は不要です。)
参考動画
財務諸表に関連する英語表現をもっと学びたいという方は、アメリカの大学教授による解説動画がおすすめです。
各財務諸表の名前や要素といった基本が12分でサクッと学べます。(今回の記事では省略しましたが、株主資本等変動計算書である"Statement of Shareholders Equity"も解説されています。)
ネイティブの話す自然な英語のリスニング練習にもなりますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=4sGEtZcLdx8
まとめ:本日の復習
- 財務諸表の英語表現はIFRSとUS-GAAPで異なるものがある。
- 財務諸表は英語で「Financial statements」
- 貸借対照表は「Statement of financial position」「Balance sheet」
- 損益計算書は「Statement of profit or loss」「Profit and loss statement」「Income Statement」
- キャッシュフロー計算書は「Statement of cash flows」「Cash flow statement」
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