【資本金・資本剰余金・自己株式】は英語で何て言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第15回〜

2021年2月7日

 

こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。

 

「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています

 

この記事では「英文会計入門」第15回として、「資本金・資本剰余金・自己株式は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします

 

◆前回の記事◆【社債】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第14回〜

【社債】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第14回〜

  こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...

 

資本金は英語でなんて言うの?

 

資本金とは、簡単に説明すると「会社の運営資金として株主が出資したお金」のことです。

 

会社設立や新事業開始にあたっての元手のお金のことで、貸借対照表の純資産の部にある勘定科目ですね。

 

では、「資本金」は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Share capital"です。

 

"Share"は動詞の「共有する」が有名ですが、名詞では「」という意味があります。

 

"Capital"は「資本、資金」という意味の名詞で、「キャピタル」と発音します。

 

豆知識

資本主義のことを英語で「キャピタリズム"Capitalism"」と言いますが、そのキャピタル"Capital"と同じ単語です。

 

ちなみに"Share"と似ている英単語に"Stock"がありますね。

 

Investopediaの記事によると、両者はどちらも「」を意味しますが、"Share"はある特定の会社の所有権というニュアンスがあるようですね。

 

そのため"Stock"ではなく"Share"を使って、"Share capital"で「会社の所有権を有する資本・資金」を表現しているのだと思います。

 

「資本金」のその他の英語表現には"Equity capital" "Capital stock"があります。

 

例文

  • 会社が投資家に発行した株式の総額は発行済資本(資本金)と呼ばれる。
    The total value of the shares a company sells to investors is called its issued share capital.
  • その会社は£1000を資本金として計上した。
    The company recorded £1,000 as share capital.
  • 会社が普通株式を発行し現金を受け取ると、貸借対照表の左側に現金、右側に資本金を計上してバランスする。
    When a company issues common shares and receives cash, the balance sheet is balanced with cash on the left and share capital on the right side.

 

なお、「普通株式」は"Common Stock"、「優先株式」は"Preferred Stock"と表現します。

 

正直、"Share"と"Stock"の違いはノンネイティブはあまり気にしなくていいと思います。

 

ネイティブにとっても、両者の違いは"Blurry(あいまい)"で、"both words are used interchangeably(両方互換的に使用される)"と言っているからです。

 

もちろん、対外的に公表する開示資料の勘定科目は正確である必要があります

 

しかし、業務上相手に「資本金」であることが伝わればいい場合は、どの表現を使っても問題ないと思います。

 

資本金の関連用語

 

ここからは実務で役に立つ資本金の関連用語を学習していきましょう。

資本準備金は英語で何て言うの?

「資本金」と似た勘定科目に「資本準備金」があります。資本準備金とは一体何でしょうか?

 

資本準備金とは、「株主からの払込み額のうち資本金の1/2以下の金額を将来のリスク(支出や損失)に備えて積み立てるお金」です(日本基準)。

 

資本金と同じく、貸借対照表の純資産の部の勘定科目です。

 

では、「資本準備金」は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Legal capital surplus"です。

 

"legal"は「法的な」、"capital"は「資本」、"surplus"は「剰余、余分」という意味です。

 

3語合わせた"Legal capital surplus"は「法的な資本金の余りの部分(=資本準備金)」ということですね。

 

資本剰余金は英語で何て言うの?

資本剰余金とは、「資本準備金+その他資本剰余金(資本取引から生じた剰余金)」のことです(日本基準)。

その他資本剰余金には、自己株式処分差益などがあります。

 

「配当原資になりうる」という点で、その他資本剰余金は資本準備金と性質が異なります。

 

資本金、資本準備金と同じく、貸借対照表の純資産の部の勘定科目ですね。

 

では、「資本剰余金」は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Capital surplus"です。

 

"Capital"「資本金」と"surplus"「剰余」を合わせた覚えやすい表現ですね。

 

他にも、"Share premium"や"Additional paid-in capital"、"Contributed Capital"という表現も使われます。

 

例文

  • 資本剰余金とは、額面価格を超えて発行された普通株式の余剰部分のことをいう(US-GAAP)。
    Capital surplus, or share premium refers to the surplus resulting after common stock is sold for more than its par value.
  • 額面価格のない株式は資本剰余金ではなく、全ての払込金額を資本金として貸方に計上する(US-GAAP)。
    Shares that have no par value generally do not have any capital surplus, and all funds from shares issued are credited to share capital.

 

自己株式は英語でなんて言うの?

会社が保有する自社の株式は「自己株式」と呼ばれます。

 

では、「自己株式」は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Treasury stock" "Treasury share"です。

 

"Treasury"は聞き慣れない単語だと思いますが、「企業などが資金を預け入れ、保管する場所、金庫」という意味があります。

 

発音は、やや難しいですが「トレジャリー」です。

 

「財宝」を意味する"treasure(発音:トレジャー)"を連想すると思い出しやすくなります。

 

そして「自己株式」"Treasury stock" "Treasury share"は、「会社が保管する(自分の)株式」とイメージして覚えるのがおすすめです。

 

その他には"Reacquired stock" "Reacquired share"(会社によって買い戻された株式)という表現も見られるので、余裕があったら覚えておきましょう。

 

例文

  • 同社はこれらの株式を自己株式として会計処理し、貸借対照表上5百万米ドルを資本剰余金から自己株式へ振替えた。
    The company accounted for these shares as Treasury Stock and reclassified $ 5 million from Additional Paid-In Capital to Treasury Stock in their balance sheet.

 

会社設立、増資、新株の発行は英語で何て言うの?

「会社設立にあたり新株を発行する」「事業拡大のため増資する」と英語ミーティングで外国人に説明する機会があるかもしれません。

 

そんな時は、どのように英語で表現すればいいでしょうか?

 

「会社を設立する」は"start/found/set up/create a company"、「増資する」は"raise equity capital"、「新株を発行する」は"issue new shares"とそれぞれ英語で表現します。

 

例文を見て各英語表現の使い方に慣れていきましょう。

 

例文

  • 来月設立する新会社のため新株を発行しよう。
    Let’s issue new shares for a new company that we set up next month.
  • 当社が増資するには様々な手段がある。
    There are different ways to raise equity capital for our company.

 

創立費は英語で何て言うの?

会社設立のために支払う費用のことを「創立費」と言います。

創立費には、登記関連費用や設立前の賃借料・給与、定款制作費用などが含まれます。

 

日本基準では、創立費は原則的に支出時に費用として処理しますが、任意で繰延資産に計上し、5年以内に渡って定額償却できます

 

では、「創立費」は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Organization expenses"です。

 

「組織設立のための費用」ということですね。

 

日本語と英語の表現になんとなく乖離がある会計用語ですが、会社の新規設立に携わるビジネスパーソンは覚えておいて損はないと思います。

 

例文

  • IFRS基準では通常創立費は資産計上され償却される。ただし、一般的に米国GAAPや財務報告目的においては費用計上される。
    Under IFRS standards organization expenses are typically capitalized and amortized. However, they are generally expensed for US-GAAP and financial reporting purposes.

 

開業費は英語で何て言うの?

会社設立『後』にかかった事務所設備や物品の購入費用は「開業費」に該当します。

 

創立費と同じく、日本基準では開業費も原則的に支出時に費用として処理しますが、任意で繰延資産に計上し、5年以内に渡って定額償却できます。

 

では、開業費は英語で何と言うのでしょうか?

 

正解は、"Business commencement expense/Start up costs"です。

 

"commencement"は"commence(動詞:開始する)"の名詞形です。

つまり、「事業開始費用」と表現しているわけですね。

 

発音は少し難しいですが「コンスメント」です。

 

"Start up costs"も似ていて、「(事業の)スタートアップ費用」を表します。

 

上記の"Organization expenses(創立費)"と混同しないように注意しましょう

 

参考動画

資本金などのEquityに関連する英語表現をもっと学びたいという方は、以下の動画をおすすめします。19分の長い動画ですが、丁寧なEquityの授業をイギリス英語で視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=C51XMK5rv30

 

まとめ:本日の復習

 

  • 資本金は英語で『Share capital』
  • 資本準備金は『Legal capital surplus』
  • 資本剰余金は『Capital surplus』
  • 自己資本は『Treasury stock』
  • 会社設立は『start/found/set up/create a company』
  • 増資は『raise equity capital』
  • 新株の発行は『issue new shares』
  • 創立費は『Organization expenses』
  • 開業費は『Business commencement expense/Start up costs』

 

 

 
 

 

 

◆次回の記事◆【約束手形・受取手形・支払手形・不渡手形】は英語で何て言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第16回〜

【約束手形・受取手形・支払手形・不渡手形】は英語で何て言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第16回〜

  こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...