イギリスの国家医療制度(NHS)を利用するには居住地域の家庭医にあたる『GP』へ登録することが求められます。
歯の治療と緊急以外はどんな症状でも、必ず登録したGPで診察を受けることが必要です。
この記事では、初めてイギリスに住む方へGP登録の方法を分かりやすく解説します。
GPとは何か
GPとは、家庭医もしくはホームドクター(General Practitioner)と呼ばれるNHSの医療を受ける窓口のような存在です。
公式サイトがGPの概要について5分半のアニメ動画にまとめています。
NHSを利用するには居住地域の近くにあるGPへ登録することが求められます。
風邪や頭痛など通常の診療(初期治療:Primary Care)だけでなく、総合病院の内科や外科にあたるNHS病院専門医(専門治療:Secondary Care)への紹介もGPが担当します。
歯の治療と緊急以外はどんな症状でも、必ず登録したGPで診察を受けることが求められますので、イギリスで生活をスタートしたら出来るだけ早くGP登録が必要です。
ココがポイント
イギリスで生活を始めたら、すぐにGP登録をしましょう
GP登録に必要なものを用意する
GP登録に必要なものは以下3つになります。
- GP登録の申請書
- 身分証明書
- 住所証明書
GP登録の申請書はNHSのホームページからダウンロードが可能です。
申請書は英語で記入が必要ですが、申請書の記入例で書き方を解説しています!
身分証明書はVISA付のパスポートに加えて、BRP(英国滞在査証)をGPに持参することをオススメします。
ココがポイント
「イギリス滞在の資格を確認したいのでBRPも見せてくれ」と求められる場合があるので、BRPも持参しましょう!
最後に、住所証明書ですが、光熱費の請求書や運転免許証が有効です。
しかし、光熱費の請求書を初めて受け取るのは生活してから約1ヶ月、日本の免許証をイギリスの免許証に切り替えるのにも3〜7週間かかります。
私がオススメするのは、GP登録前に銀行口座を開設し、銀行口座の開設完了後に郵送される開設完了レター(デビットカードが送付されるレター)を住所証明に使うことです。
ココがポイント
GP登録前に銀行口座を開設し、銀行口座の開設完了レターを住所証明書に使いましょう
銀行口座を開設するときも住所証明を求められますが、賃貸物件を紹介してくれた不動産会社に「銀行口座開設のために、レターヘッド付の居住証明書を発行してほしい」と依頼すれば、無料で証明書を発行してくれます。
不思議なことに、不動産会社が発行する居住証明書は、住所証明書としてGPが認めてくれません。
日本の免許証をイギリスの免許証に切り替える方法は、【誰でも簡単】イギリス運転免許証を取得する手順を徹底解説!〜日本の運転免許からの切替方法〜にまとめていますので、あわせてご覧ください(^^)
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GP登録の申請書の記入例
それでは、GP登録の申請書の記入例を順番に解説します。
1. Patient's details
- 自分の性別にチェックを入れます(女性の場合、未婚であれば「Miss」、結婚していれば「Mrs」、婚姻関係を伏せたければ「Ms」を選択します)
- 氏名、生年月日(日/月/年)、出生地、イギリスの住所、イギリスの電話番号(SMSが使える携帯番号がオススメ)を記入します
2. Previous medical records
- イギリスに初めて住む場合、「Not Applicable」と記入します
3. If you are from abroad
- イギリスに初めて住む場合、「Same as home address」と記入します
- 居住目的でイギリスに来た日付を記入します
4. Armed Forces GP
- 日本人がイギリス軍に従事することはないので、「Not Applicable」と記入します
5. Dispense medicines and appliances
- 自宅とGPの距離が1.6km(1マイル)以上離れていて、健康上の理由などで処方薬をGPに取りに行けない場合、上2つのボックにチェックをします。
- 自筆でサインし、サインした日付を記入します
6. NHS organ donor registration
- 事故や病気などで死亡したあと、自分の臓器をNHSに提供することを希望する場合、希望する臓器にチェックを入れます
- チェックを入れた場合、自筆でサインし、サインした日付を記入します
7. NHS blood donor registration
- 献血を希望する場合、自筆でサインし、サインした日付を記入します
GP登録の流れ
登録するGPを選ぶ
体調が悪くなった最初に行く家庭医になりますので、自宅から最も近いGPを選べばOKです。
自宅の近くにあるGPを調べるには、Find a GPにアクセスして、自宅の郵便番号を入力すればGPが検索できます。
GPに登録する
選択したGPの診療時間を確認し、申請書・身分証明書・住所証明書をもってGPに行きます。
受付でGP登録の意志を伝えると、係りの人が手続きをしてくれます。
NHSの申請書とは別に、各GPが管理・保管する用紙に記入を求められる場合がありますが、基本的にはNHSの申請書と同じ内容が聞かれると理解しておけば大丈夫です。
GPオンラインサービスに登録する
GPで登録を完了したら、「オンラインサービスに登録しますか?」と係りの人から聞かれます。
オンラインサービスに登録すると、GPのオンライン予約が可能になりますので(一部GPは電話対応のみ)、登録することをオススメします。
登録が完了すると、指定したEメールにオンラインサービスの案内が届きます。
Service Providerから1つ選び、登録案内(Registerのボタン)に従って本人情報(Eメールに送られてきた、Linkage Key, ODS Code, Account ID)を入力していけば登録が完了します。
私はいくつかのService Providerを見比べましたが、Patient Accessが分かりやすかったので、Patient Accessで登録しました。
GP登録完了レターが届く
GPの登録完了から1〜2週間後、NHSから「Registration Confirmation Letter」が郵送で届きます。
レターが届いたら無事にGP登録完了です。
NHSとは何か
イギリスの医療は大きく2つに分かれます。1948年から始まったNHS(National Health Service)と呼ばれる国の医療制度、そしてプライベート医療です。
イギリスに半年以上滞在するビザを持っていれば、日本人(外国人)でもNHSのサービスを無料で受けられます!
NHSのサービス
NHSで受けられる主なサービスは以下の通りです。
- GPによる治療費(GPとは)
- 病院治療費(一部の入院費を除くすべて)
- 出産に関する費用
- 歯科医療費の一部
- GPや病院医師による処方箋
- 救急車の依頼を含む救急サービス(A&E: Accident & Emergency)
自分が登録したGPに連絡がつかない場合、NHSダイレクトに電話をして、開院している診療所を教えてもらうことができます。
また、NHSは健康に関するアドバイスや情報について、24時間体制の電話相談サービスを提供しています。
日本語通訳も待機していますので、英語に自信がない人も利用が可能ですよ!
電話相談サービス
NHS Direct
is a confidential 24-hour telephone helpline staffed by expert nurses. By calling 0845 4647, you can speak to a nurse for advice at any time of the day or night, wherever you are in England. You can expect your call to be answered quickly. There will be an interpreter to provide advice in your own language, if you need this.
NHS Direct TEL: 0845-4647
処方箋と薬局
イギリスは医薬分業の国です。医師の役割は診断結果を踏まえて処方箋を出すことで、処方箋に基づいた薬を提供するのは薬局の役割になります。
日本人にとって、処方される薬の分量が多すぎる場合もありますので、処方箋で支持された分量の50〜70%を摂取して様子を見る方がいいかもしれません。
イングランドの場合、薬1種類につき£8.20の支払いが必要です(薬の量は関係なし)。ロンドンには緊急時に24時間対応する薬局があります。
緊急時に24時間対応の薬局
プライベート医療
NHSは緊急を除いて待ち時間が長く、診療にも制約が多いため、プライベート治療を受ける人も増えています。
日本人の場合、長い間イギリスに住んでいて、英語のコミュニケーションに不自由がない人を除けば、プライベート医療施設を利用する方が多いです。
海外駐在員の場合、会社負担で海外旅行保険に加入するケースも多いので、事前に会社の担当部署に確認することをオススメします。
日本人が利用する病院
- ロンドン医療センター(外来、健診、専門医診察)
- Nippon Club Medical Clinic(内科、小児科、一般)
- Japan Green Medical Centre(内科、外科、小児科、産婦人科、健康診断)
- Ko Dental Practice(歯科、高歯科医院)
最後に
いかがでしたか?イギリスでいつか医療サービスを受ける可能性はあります。
上記の手順でGP登録を行い、快適なイギリス・ライフをお楽しみくださいね。
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