【機会費用・埋没原価】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第22回〜

2021年2月18日

 

こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。

「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています

この記事では「英文会計入門」第22回として、「機会費用・埋没原価は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします

◆前回の記事◆【不正会計・不適切会計・粉飾決算】は英語で何て言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第21回〜

【不正会計・不適切会計・粉飾決算】は英語で何て言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第21回〜

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機会費用は英語でなんて言うの?

 

機会費用とは、「ある選択をしたことにより既に失った、別の選択をしていたら得られていたはずの価値のこと」をいいます。別名「機会原価」です。

例えば、大学に進学したことによる機会費用は、大学に進学せず就職して働いた場合の給与が該当します。

4年制の大学に進学するのであれば、高校卒業後4年間に仕事で得られた(はずの)お金が「機会費用」となります。

逆に高校卒業後就職することによる機会費用は、大学を卒業していれば得られた(はずの)昇給のお金が「機会費用」になります。

手元のリソース(時間・お金)が限られているがゆえに、複数の選択肢のうち全てを実行することができないときに、どの選択するのが最善であるかを検討する際に用いられる概念です。

豆知識

アメリカの建国の父ベンジャミン・フランクリンは、「Time is money」という格言で有名ですが、「時間は大切」という意味だけではなく「その時間でお金を生み出せるのだから、時間は機会費用で換算できる」と言いたかったのかもしれません。

管理会計の世界では、ある意思決定をする際に、実際発生する費用に加え「機会費用」もコストとして計算に織り込みますね。

では、「機会費用」は英語で何と言うのでしょうか?

「Opportunity cost」です。

Opportunityは「機会」という意味で、「オポチュニティー」と読みます。

Cost「費用」を足してそのまま機会費用を表します。

カタカナのビジネス用語に詳しい方は、機会費用のことを「オポチュニティー・コスト」と英語で表現しているかもしれません。

少し難しいですが一般的な用語になりつつあるので、職場でこの表現を聞いたら何のことを指しているかわかるようにしておくといいでしょう。

例文を一緒に見ていきましょう。

機会費用とは、他の選択肢を取っていれば享受できた便益のことをいう。
Opportunity cost is the benefit that could have been enjoyed if the alternative choice was chosen.

それぞれの選択肢の期待されるリターンの差額によって、機会費用を計算する。
The formula for calculating an opportunity cost is the difference between the expected returns of each option.

Opportunity costの考え方を英語で学びたい方は、Accounting Coachの記事がオススメです。

機会費用の関連用語を覚えよう

埋没原価は英語でなんていうの?

埋没原価とは、過去に発生した費用で、今後の意思決定には影響を及ぼさない回収不能なコストのことをいいます。別名「埋没費用」です。

埋没原価は、目の前の複数の選択肢のうち、いずれの選択肢を選んでも同様に発生するコストのため、最善の意思決定には影響を与えません。

したがって、意思決定のための計算からは通常除外します。考慮すべき対象から「埋没」している、ということですね。

豆知識

例えば、工場のラインに新しい製品を追加して製造するという選択肢を考えるとき、既に発生している建物・機械の減価償却費や、生産ラインで働く労働者の人件費といった固定費は「埋没原価」と考えられます。新しい製品を追加するか否かに関わらず発生するコストだからです。

また、失敗が確実視される新規プロジェクトの開発を続けるか、中止するかという意思決定を考えてみてください。

どう考えても赤字になるプロジェクトであれば、それまでの設備投資や開発費が何十億円、何百億円かかっていようと、中止することが賢明です。

つまり、設備投資や開発費は「意思決定に影響を与えない回収不能なコスト」なので埋没原価に該当します。

では、「埋没原価」は英語で何と言うのでしょうか?

「Sunk cost」です。

Sunkとは、「沈む」という意味の動詞sinkの過去分詞です。「サンク」と読みます。

Sunk costで「沈んだコスト」つまり「埋没原価」を意味します。

サンクコストはビジネス用語になっているので、ご存じの方も多いかもしれませんね。知らなかった人は、ぜひ意思決定の場で使ってみてください。

それではSunk costを使った例文をご紹介します。

埋没原価とは、すでに発生した回収することができないコストのことである。
A sunk cost refers to a cost that has already been incurred and which cannot be recovered by any means.

埋没原価は、ビジネスの意思決定プロセスからは除外される。なぜなら、意思決定の結果に関わらず発生するコストだからである。
Sunk costs are excluded from the business decision-making process because the cost will remain the same regardless of the outcome of a decision.

関連原価は英語でなんていうの?

埋没原価の反対の概念を持つのが「関連原価」です。

関連原価とは、「複数の選択肢のうち、ある選択肢を選ぶことによって(追加的に)発生するコスト」のことを指します。

ある意思決定に「関連」して発生・変化するコストのため「関連原価」と呼ばれます。

豆知識

よくある簿記の問題として、「アウトソーシングか内製か」という2択でそれぞれの関連原価を計算させ、どちらの選択肢に経済合理性があるか答えさせる問題がありますね。

では、関連原価は英語で何と言うのでしょうか?

「Relevant cost」です。

Relevantは「関係のある」という意味の形容詞で、「レラベント」と読みます。

つまり、Relevant costで「関係のあるコスト」と表現しています。

例文を確認していきましょう。

関連原価とは、ある特定の経営判断によってのみ発生する回避可能なコストのことをいう。
Relevant cost refers to avoidable costs that are incurred only when making specific business decisions.

経営者は、部品や労働を内製するか外注するかといった意思決定に、関連原価を使う。
Management uses relevant costs in decision making such as whether to make or buy parts or labor.

無関連原価は英語でなんていうの?

関連原価とは逆に意思決定に「無関連」のコストは、「無関連原価」といいます。

先ほど出てきた「埋没原価」と意味はほぼ同じです。

しかし、埋没原価は過去に発生したコストをいうのに対して、無関連原価は過去・現在・将来に関わらず、意思決定に関連しないコスト全てを指します

英語では、Irrelevant costです。Irrelevantは「無関係の」という意味の形容詞で、「イレラベント」と読みます。

こちらも軽く例文を確認しておきましょう。

無関連原価は、経営判断の結果に左右されないコストをいう。無関連原価の例は、回避不能な埋没原価や減価償却費である。
An irrelevant cost is a cost that will not change as the result of a business decision. Examples of irrelevant costs are sunk costs or depreciation as these cannot be avoided.

 

参考動画

関連原価と無関連原価を英語でより詳しく学習をしたい方には、以下の動画がおすすめです。大切な要素がまとまっていて4分ほどでサクッと視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=kR5dOXAGiqw

 

 

まとめ:本日の復習

 

  • 機会費用は英語で『Opportunity cost』
  • 埋没原価は『Sunk cost』
  • 関連原価は『Relevant cost』
  • 無関連原価は『Irrelevant cost』

 

 

 
 

 

 

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