こんにちは。イギリス駐在中の米国公認会計士わだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第30回として「人件費・法定福利費・福利厚生費は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【販売費及び一般管理費】は英語でなんて言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第29回〜
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【販売費及び一般管理費】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第29回〜
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人件費は英語でなんて言うの?
人件費とは「会社が労働に対して支払う給与や手当、雇用によって発生する様々な費用」を指します。
人件費の代表例は、給与手当、役員報酬、法定福利費、福利厚生費、退職金などです。
また、一般的に、採用や研修にかかる費用も人件費にカウントされます。
では、人件費は英語で何と言うのでしょうか?
「Personnel expenses」です。
Personnelは「人員」という意味で、発音は「パーソネル」です。Personnel expensesで「人材に対してかかる費用」を表します。
人事部は英語でHuman Resources(HR) Departmentですが、少し前であればPersonnel Departmentとも呼ばれていましたね。
また、Personnelと似た英語にPersonal(発音:パーソナル)があります。Personalは「個人」と異なる意味を持つので、間違えないように気を付けましょう。
例文を紹介していきます。
商品やサービスを生み出すために直接発生する人件費は、損益計算書のトップにある売上原価に計上される。
The portion of personnel expenses that go directly toward producing the products or services you sell are listed at the top of your income statement as part of COGS.
人件費の関連用語を覚えよう
ここからは、人件費の中でも代表的な勘定科目の会計英語を、例文つきで解説していきたいと思います。
給与手当
給与手当とは「会社の従業員に労働の対価として支払われる給与や、残業手当、役職手当、住宅手当、資格手当などの諸手当」のことです。
では、「給与手当」は英語で何と言うのでしょうか?
「Salaries and allowances」です。
Salariesは「給与」、allowancesは「手当」という意味の英単語です。
Allowancesは他にも「手加減、お小遣い、値引き」などの意味があり、会計英語では「(評価性)引当金」という意味でも有名です。
例えば、貸倒引当金は、Allowance for doubtful accountsと表現します。
「引当金」に関しては、英文会計入門シリーズ第7回「引当金は英語でなんて言う?」で丁寧に解説していますので、参考にしてください。
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【引当金】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第7回〜
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続いて例文を紹介します。
過払いであった給与手当は、先週返金された。
The overpayment of salaries and allowances have been reimbursed lase week.
賞与
賞与とは「会社の従業員に対し給与手当とは別に、勤務成績に応じて支払われる一時金」のことをいいます。
特別手当やボーナスなどと呼ばれます。賞与は、英語でそのままBonusです。
従業員賞与であればEmployees' bonuses、役員賞与であれば Directors' bonusesのように表現します。
賞与は、従業員に対して魅力やモチベーション、定着アップに一役買うことができる。
Bonuses can play a role in the attraction, motivation and retention of employees.
年末から暫くして取締役に$50,000の賞与が支払われる
The directors are paid a bonus of $50,000 sometime after the year end.
役員報酬
役員報酬とは「取締役、監査役、会計参与、執行役などの役員に対して支払われる報酬」のことです。
英語では、Directors’ remunerationと表現します。
Remunerationは「報酬」という意味のビジネス英語で「レミュネレーション」と発音します。
マイナビニュース「5万人の学習データから分析した、間違えやすいビジネス英単語1位は?」という記事によると、remunerationは間違えやすいビジネス英単語1位だそうです。
この機会に覚えて、ビジネスの実践で使えるとカッコイイですね。
例文を使って一緒に覚えていきましょう。
役員報酬とは、株主総会や取締役会の承認を得て会社の役員に支払われるお金のことである。給与や賞与、その他報酬などを含む。
Director’s remuneration is the amount paid to the directors of a company with approval from the shareholders and board of directors. It includes salary, bonus, other rewards, etc.
法定福利費
法定福利費とは「法令に基づき会社に支払の義務のある社会保険料や労働保険料」のことをいいます。
例えば、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料などです。
では、法定福利費は英語で何と言うのでしょうか?
「Legal welfare expenses」です。
Legalは「法律の、法的な、法定の」、welfareは「福祉、福利」という意味があります。
つまり「法定で義務付けられている福利厚生」を表します。
例文を見て会計英語の表現に慣れていきましょう。
法定福利費のうち最も金額の大きい項目は、およそ50%を占める厚生年金保険料です。
The largest amount among the legal welfare expenses is welfare pension insurance premiums, which accounts for about 50% of them.
福利厚生費
福利厚生費は法定外福利費とも呼ばれ「会社が独自に定めた従業員の生活の向上を目的とした福利厚生費用」のことを指します。
法定福利費との大きな違いは、法律で義務付けられておらず、会社の任意で負担する費用という点です。
では、福利厚生費は英語で何と言うのでしょうか?
「Welfare expenses」です。
法定福利費のLegal welfare expensesからLegalを除いた表現ですね。
福利厚生費の定義や法定福利費との違いを考えると、覚えやすい会計英語です。
法定福利費と区分するために、Non-legal welfare expensesと表現することもあります。
例文とともに覚えていきましょう。
福利厚生費は企業会計上費用として計算されるため、大企業を中心に活用されている。
Non-legal welfare expenses are initiatively utilized by large companies as they can be calculated as costs in the business accounting.
法定福利費と福利厚生費の定義や違い、仕訳について深く学びたい方は、Money forwardクラウド会計さんの記事を参考にしてください。
退職金
退職金とは、いわずもがな「退職した従業員に対して支払われるお金」のことですね。
英語では、Retirement paymentsと表現します。
Retirementは「退職」、paymentsは「支払い」という意味なので、シンプルな会計英語ですね。
ココに注意
退職給付会計で使われる「退職給付費用」は、Retirement benefit expensesといいますので、ご注意ください。
それでは、例文を見ていきましょう。
従業員が退職するとき、彼らに退職金が支給される。
When employees retire, retirement payments will be provided to them.
まとめ:本日の復習
- 人件費は英語で『Personnel expenses』
- 給与手当は『Salaries and allowances』
- 賞与は『Bonuses』
- 役員報酬は『Directors’ remuneration』
- 法定福利費は『Legal welfare expense』
- 福利厚生費は『Non-legal welfare expense』
- 退職金は『Retirement payments』
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