英文会計入門

【引当金】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第7回〜

2021年1月21日

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こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。

「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています

この記事では「英文会計入門」第7回として、「引当金は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします

◆前回の記事◆【減価償却費】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第6回〜

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引当金は英語でなんて言うの?

引当金の定義

簿記における「引当金」は日本基準、IFRS、US-GAAPでその定義が異なります。

引当金の英語に行く前に、引当金とは何か?を日本語で確認しましょう。

まず日本基準です。日本では以下の4要件を満たしたものが引当金です。

  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. 発生が当期以前の事象に起因すること
  3. その発生の可能性が高いこと
  4. 金額を合理的に見積もることができること

次にIFRSですが、引当金要件は3つあります(IAS37号の原文)。

  1. 過去の事象の結果として、現在の法的債務(legal obligation)もしくは推定的債務(constructive obligation)が生じている
  2. 支払いの可能性が高い(more likely than not)
  3. 信頼性を持って金額を見積もることができる

最後にUS-GAAPです。引当金要件は2つあります。

  1. 財務諸表提出日以前に入手した情報が、貸借対象日現在で資産の価値が減損している、または負債が発生していることが確かであることを示している
  2. 金額を合理的に見積もることができる

原文も紹介します。

  1. information available prior to issuance of the financial statements indicates that it is probable that an asset had been impaired or a liability had been incurred at the date of the financial statements.
  2. the amount of loss can be reasonably estimated.

どの国の基準を採用しているかによって、会計用語の定義や適用範囲が変わってきます。これは、引当金に限りません。

したがって実務の上では会計英語を闇雲に使うのではなく「この単語に対する相手の受け取り方」まで考えて使えるようになるとベストです

引当金の英語

では、引当金は英語でなんて言うのでしょうか?

正解は「allowance/provision/reserve」です。

「引当金の英単語って3つもあるのか。違いがわからないから、どれを使えばいいのかわからない。」という方は多いのではないでしょうか。

後述しますが、ネイティブによると基本的に「reserve」を引当金として使うことは推奨されていません。なので、reserveはいったん忘れてもらって結構です。

まずは、allowanceとprovisionを使った例文をご覧ください。

引当金の種類によって、allowanceを使うかprovisionを使うか分かれるので、どの種類に何を使うか推測しながら読んでみてください。

経営陣は賞与の金額を見積り、引当金として計上しなければならない。
Management will have to make an estimate as to the amount of the bonus and recognise it as provision.

貸倒引当金は、回収不能と予測される売掛金の割合を見積もる。
The allowance for doubtful accounts estimates the percentage of accounts receivable that are expected to be uncollectible.

引当金は貸借対照表の負債として計上され、損益計算書の適切な費用勘定と一致させる。
Provisions are recorded as a liability on the balance sheet and then matched to the appropriate expense account on the income statement.

ある会社が巨額の損失に苦しんでいたとしても、引当金は計上することになっている。
Even in the case when a company is suffering heavy losses, provisions are to be made.

引当金の計上は、内部の取引であるためキャッシュフローには影響を与えない。
Creation of provision does not affect flow of cash because it is an internal transaction.

信頼性を持って測定できないため引当金を認識できない場合、それは偶発債務として開示する。
Where a provision exists but cannot be recognised because the obligation cannot be measured reliably, it is disclosed as a contingent liability.

 

引当金の使い方の注意点

英語で引当金は「allowance/provision/reserve」ですが、注意点が2つあります。

3つの英語どれを使ってもいいというわけではないのです。

引当金をreserveと表現することは推奨されていない

Googleで‘引当金’ ‘英語’と調べると、reserveという単語はかなり上位に表示されます。

しかし、海外の会計学習サイトAccounting Coachによると、引当金をreserveと表現することはもう長い間推奨されていないそうです。

もともとreserveという会計英語は、contra account(資産の反対勘定)として使われていました。

豆知識

固定資産から控除する減価償却費累計額をdepreciation reserveと言ったり、売掛金から控除する貸倒引当金をreserve for bad debtsと言ったりしたそうです。

しかし、reserveは「積立金、準備金」という意味を持っています(純資産の勘定で見ますよね)。

そのため、「reserve」を使うと、固定資産の取り替えや売掛金の貸し倒れに備えて「お金を準備している/積み立てている」と財務諸表利用者に対して間違った印象を与えてしまうのです

したがって現在は引当金をreserveと表現することは推奨されていません

allowanceとprovisionの違いは何?

それでは本題の引当金は英語でなんと言えばいいのでしょう?

答えは、どの種類の引当金を指すかによって変わります。

引当金には「評価性引当金」と「負債性引当金」の2種類が存在します

  1. 評価性引当金:特定の資産から控除される引当金で(例:貸倒引当金)マイナスの資産勘定
  2. 負債性引当金:独立の負債項目として存在する引当金で(例:賞与引当金、製品保証引当金)プラスの負債勘定です。

 

金融庁の「報告項目及び勘定科目の取扱いに関するガイドライン」によると、評価性引当金は「allowance」、負債性引当金は「provision」と規定されています

 

したがって、自分の伝えたい引当金が、どちらの種類の引当金か考えて使い分けましょう。

日本基準の主要な勘定科目の英語は以下の通りです。参考にしてください。

評価性引当金

  • 貸倒引当金:Allowance for doubtful accounts
  • 投資損失引当金:Allowance for investment loss

負債性引当金

  • 修繕引当金:Provision for repairs
  • 賞与引当金:Provision for bonuses
  • 退職給付引当金:Provision for retirement benefits

ここまで金融庁の方針を基に原則的な使い分けを紹介しましたが、実際のネイティブとの会話では評価性引当金にprovisionが使われることもあります。

例えば、貸倒引当金を"provision for bad debts"と呼んだりします(海外サイトの参考記事)。

イギリスの職場から

スピーキングなどでallowanceかprovisionで迷ったことがありますが、職場では「provision」で100%通じました

 

まとめ:本日の復習

  • 引当金の考え方は、日本基準、IFRS、US-GAAPで異なる。
  • 「reserve」という英語を使うのは推奨されていない。
  • 評価性引当金は「allowance」、負債性引当金は「provision」が金融庁の方針である。
  • ただし、評価性引当金を「provision」と表現してもネイティブには通じる。

 
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