- 会計英語をどのように網羅的に勉強したらいいか分からない
- 簿記・会計と英語を自分の専門とするための勉強方法が知りたい
- 会計英語や英文会計のおすすめの資格があれば教えてほしい
本日の記事では、上記の疑問を持つ読者の悩みに、米国公認会計士でイギリス駐在員の私が僭越ながらアドバイスを送りたいと思います。
目次
会計英語はどうやって勉強したらいいの?
会計英語の参考書を購入する
最初のおすすめの会計英語の勉強方法は、ベタですが参考書を使って会計英語を覚える方法です。
Amazonで評価の高い実務で使えそうな参考書を使って、必要に応じて参照することから始めます。
初めて会計英語を学ぶ方は、最初は覚えることが多くハードルが高く感じると思うので、手元に届いたらざっと目を通すことをおすすめします。
仕事で会計英語を使う人は、辞書のように常に近くに置いておくと安心感がありますね。
会計英語の勉強を始める第一歩として「参考書を使って勉強する」はとてもおすすめです。
会計英語アカデミーの英文会計入門シリーズを読み込む
「会計英語を独学で勉強する学生や社会人を応援する無料学習メディア」である当ウェブサイトの英文会計入門シリーズを読み込むのもおすすめです。
このシリーズは、USCPAでイギリスでの経理実務経験のある著者が、USCPAの教科書やイギリスの経理業務で耳にした英語、ネイティブによる会計学習サイトで実際に使われている英語表現を参考にしながら書いています。
会計用語の英単語の解説だけでなく、日本人の間違いやすいポイントやその会計英語を使った例文を紹介するなど、できるだけ初学者にやさしく記憶しやすい内容となるよう工夫しています。
本シリーズはこれまでの記事を初級編と中級編に分けてまとめており、英文会計入門シリーズの記事まとめから読み進めてもらえれば、着実に会計英語を身につけることができます。
最後の記事まで学習できれば、「会計英語に詳しい」と言っても過言ではないレベルにまで成長していると思います。
英語ネイティブによる会計学習サイトを読み込む
新しい分野を英語で勉強できるくらい語学レベルが高い人は、英語ネイティブによる会計学習サイトを利用して、会計英語を身につけるのがいいと思います。
海外の会計学習サイトで使われている英語表現は、ネイティブが自然に使う会計英語で溢れているので、自信を持って覚えた会計英語を使うことができます。
私のお勧めの会計学習サイトは、①英語ネイティブがサイトを運用している、②サイト運用年数が長い、③サイト利用者数が多い、という3条件を満たしている以下のWebサイトです。
- AccountingCoach・・・何百万人にも支持されている無料で学べる英語の会計学習サイト。CNBCやForbs、The New York Timesなど数々の新聞やメディアで取り上げられている。
- Investopedia・・・ニューヨークに本社を置く金融Webサイト。会計だけでなく、金融や経済などに関する専門用語の解説が充実している。
デメリットとしては、すべて英語で学ぶため日本語と英語の用語の対応が難しくなるかもしれないということがあります。
完全に英語だけを使って仕事をするのであれば別ですが、日系企業で海外向けの仕事をするのであれば、日本語と英語の対応はできたほうが便利だと思います。
そのため、「会計英語の参考書で勉強する」「会計英語アカデミーの英文会計入門シリーズを読み込む」のいずれかの方法で勉強した後、もっと深掘りしたい分野についてネイティブの学習サイトを利用するとより会計英語に詳しくなれます。
「Webサイトよりも書籍を使って体系的に学習したい」というのであれば、Financial AccountingやManagement Accountingなどのネイティブ向けの会計入門書を読むのがおすすめです。
Kindle Unlimitedに加入すると、様々な会計入門書が無料で読めるようになりますよ。
会計英語の資格を取得する
会計英語学習のモチベーション維持に課題を感じている人は、「会計英語に関連する資格取得」を目標にすることで勉強が続けやすくなります。
会計英語の学習はダラダラやっているとすぐに内容を忘れてしまいます。
資格取得のゴールと期限を決めてメリハリを持って勉強した方が、結果的に短期間で効率的に会計英語を覚えることができると思います。
また、自分の学習成果が最終的に資格という形あるものに変えられれば、会計英語に対する自信がつきますし、第三者に対して客観的に自分の知識を証明できます。
特に、これから就職活動を控えてる学生さんや、グローバル企業への転職希望者や社内昇進に積極的な方におすすめです。
会計と英語の両方を専門とする人は、会計系の資格である「公認会計士、税理士、日商簿記検定」と英語系の資格である「英検、TOEIC」の資格を持っていることが多いと思います。
これらの資格に加え、会計×英語の専門資格を持っていれば相乗効果によって、社内外から自分の専門知識をより評価してもらえる可能性が高いです。
モチベーション維持と専門性の証明の両方の観点から、まだ会計英語の資格を取得していない人は、前向きに検討する価値はあると思います。
会計英語の資格は何があるの?
ここからは、会計英語に関連した資格には何があるかを見ていきます。
BATIC(国際会計検定)【試験終了】
BATIC(通称:バティック)とは、東京商工会議所が主催する英語で会計理論や会計取引に関する知識を問う検定のことです。
日商簿記検定の英語版と考える人もいます。
日商簿記検定が1~3級のそれぞれに対して合格・不合格で判定されるのに対して、BATIC(国際会計検定)は1000点満点のスコア制を採用しています。
- スコア200~319・・・ブックキーパーレベル(≒日商簿記3級)
- スコア320~699・・・アカウンタントレベル(≒日商簿記3級)
- スコア700~879・・・アカウンティングマネージャーレベル(≒日商簿記2級)
- スコア800~1000・・・コントローラレベル(≒日商簿記1級)
BATICを学ぶメリットは、簿記・会計を英語で理解できるようになるだけでなく、「国際会計基準(IFRS)」を同時に習得できる点です。
国際会計基準(IFRS)は、日本の大企業を中心として任意適用を進めており、2022年6月末時点で、IFRS適用済会社とIFRS適用決定会社、IFRS適用予定会社の合計が時価総額ベースで上場企業全体の約45%を占めます。
(「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析について≪2022年3月期決算会社まで≫)
IFRS適用の検討を実施している会社(約13%)を含めると、時価総額ベースで上場企業の過半数がIFRS適用しているかIFRS適用に前向きということがわかります。
国際会計基準を適用する大企業や外資系企業で活躍したい人にとって、BATICの学習は「会計英語と国際会計基準の知識」を同時に習得するいいツールになります。
一方、大きなデメリットとしては、BATICは2022年11月28日実施分をもって試験自体が終了したことにより、そもそもBATICの試験を受けて資格を取得することができないということです。
前述したような会計英語学習のモチベーション維持のための目標設定や、第三者に対する知識の客観的証明ができません。
それでも、BATICの参考書を使って会計英語や国際会計基準の基礎を学習するのは、何もしないよりは価値がある行動だと思います。
AmazonでBATICの公式テキストや公式問題集、過去問題集を買うことができます。試験終了した今なら、以前よりも安く手に入ると思います。
注意点としては、国際会計基準の内容が今後改正に伴って変更されることがあるということです。
国際会計基準の基礎や土台を作るためにはいいツールですが、内容が古くなる・古くなっている可能性があることは念頭に置いて勉強しましょう。
もちろん「会計英語」を学ぶにはいい勉強方法であることには変わりありません。
IFRS検定の英語受験
国際会計基準の検定には、BATIC以外にIFRS検定というものが存在します。
IFRS検定とは、英国ロンドンにあるICAEW(イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)が運営する検定試験で、国際会計基準の広範な知識と理解力を測ります。
よくあるBATICとIFRS検定の違いとして、BATICは「英語」で受験し、IFRS検定は「日本語」で受験する試験であると言われています。
しかし実際には、IFRS検定はICAEW(イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)に直接申し込みを行うことで、英語受験をすることが可能です。
実際に私の友人は、IFRS検定を英語で受験しIFRS Certificate(合格証明書)を取得しました。
具体的な英語受験の方法は、公認会計士であるrivertyさんのNoteの内容を参考にして申し込みをしたそうです。
その友人いわく「IFRS Certificate(合格証明書)を取得する過程で会計英語や国際会計基準の基礎を勉強することはできる。しかし、内容はかなり基礎的。また、資格自体の社会的認知度は大きくないため、実際に転職やキャリアでアピールに繋がったことはない。」そうです。
そもそも友人は海外の大学で会計を専攻していたような人なので、英語で勉強することには慣れていますし、会計の知識は元々あるような状態だったと思います。
「英語で勉強することに抵抗がない」「会計英語の試験を受験して腕試しをしたい」「資格の認知度はなくても構わない。」というような人にIFRS検定の英語受験は向いているように思います。
USCPA(米国公認会計士)【筆者のおすすめ】
「会計英語を本気でマスターしたい」「会計×英語を専門として食べていくために、社会的認知度の高い資格を取得したい」のいずれかに該当するのであれば、USCPAの取得がおすすめです。
USCPA(米国公認会計士)は、アメリカで公認会計士の業務ができる資格として有名ですね。
実はアメリカだけではなく、国際相互承認協定(MRA)を結んでいるカナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、アイルランド、スコットランド、南アフリカでも「会計士」として働く資格を得られます。
USCPAを取得するメリットはそれだけでなく、国内でもUSCPA合格者だけを対象とした転職オファーがあることから、転職やキャリア形成に有利であることがわかります。(参考:USCPA転職.com)
実際にUSCPAを取得した人は、BIG4含む監査法人、税理事法人・会計事務所、コンサル、金融、商社、事業会社など様々な業界への転職を成功させています。
転職成功事例の記事を読んでいただければ、多くの実績が出ていることが確かめられます。
USCPA合格者は日本で年間数百人と推定されているので、転職市場で希少価値があり好待遇のオファーが多いのだと思います。
有資格者として転職するため転職後の年収が大幅にアップした事例もありますね。
「会計英語を勉強する」というレベルを超えて「会計×英語の専門性でご飯を食べる」という一つ上の次元を目指すのであれば、USCPAを受験するのが最適解です。
試験は「FAR(財務会計)」、「BEC(企業経営環境・経営概念)」、「REG(諸法規)」、「AUD(監査および諸手続き)」の4つの科目から構成されています。(※FARの出題内容にはIFRSが含まれます。)
アメリカの公認会計士試験ですので、もちろん英語で受験します。日本語での受験対応はありません。
USCPAの難易度・勉強時間・科目別アドバイスに関しては、◆関連記事◆USCPAの難易度・勉強時間・科目別の勉強アドバイスを合格者が徹底解説!を参考にしてください。
昔はアメリカの試験会場で受験をしていましたが、今では日本の東京と大阪のテストセンターで受験できるようになりました。
わざわざ飛行機で移動して受験していた時代と比較すると、渡航費用や時差の心配がない分圧倒的に受験しやすい試験になっていると思います。
また、会計初学者でもUSCPAは合格できる試験です。
USCPAのことをもっと知りたいという方は、USCPA予備校アビタスの資料請求(Webパンフレット)やWebセミナーで情報収集するのがおすすめです。【無料】
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最後に(まとめ)
本記事では会計英語のさまざまな学習方法を見てきました。
まとめると、個人の学習レベルや希望するキャリアの違いによって変わりますが、基本的に以下の勉強方法の中から選んでいただくのがいいと思います。(複数可)
- 会計英語の参考書を使って勉強する
- 会計英語アカデミーの英文会計入門シリーズを読み込む
- 海外の学習サイトを活用する
- 会計×英語の専門資格を取得する(おすすめはUSCPA)
今回の記事が会計英語の勉強方法について少しでも参考になれば幸いです。