こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第29回として、「販売費及び一般管理費は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【仮払金・立替金・前払金・未収金】は英語でなんて言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第28回〜
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【仮払金・立替金・前払金・未収入金】は英語でなんて言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第28回〜
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販売費及び一般管理費は英語でなんて言うの?
販売費及び一般管理費(販管費)とは、「会社が営業活動を行う上で必要な、商品やサービスの販売、および組織全体の管理・運営に対して発生する費用」をいいます。
販売費の具体例は、広告宣伝費や販売促進費、主に営業部門で発生する販売活動に関連したコスト(給与や交通費など)です。
一般管理費の具体例は、総務や人事など管理部門の給与、本社の減価償却費や賃借料、研究開発費など様々です。
通常「販売費」と「一般管理費」は、「販売費及び一般管理費」として一科目で開示されるため、販売費であるか、一般管理費であるかという区分はあまり重要ではありません。
では、「販売費及び一般管理費」は英語で何と言うのでしょうか?
「Selling, general and administrative expenses」です。
Sellingは「販売」、generalは「一般」、administrativeは「管理」、expensesは「費用」という意味です。
かなり直訳に近いかたちの会計英語ですね。Selling, general and administrative expenseは単語として長いので、SG&Aと省略されます。
例文を見て使い方を確認していきましょう。
販管費及び一般管理費は、売上原価以外の会社の営業費用で構成される。
Selling, general, and administrative expenses consist of a company's operating expenses that are not included in the cost of goods sold.
損益計算書では、売上総利益から販売費及び一般管理費を引くと営業利益になる。
In an income statement, gross profit less SG&A equals the operating profit.
販売費及び一般管理費の関連用語を覚えよう
ここからは、販管費の中でも代表的な勘定科目の会計英語を、例文とともに解説していきたいと思います。
広告宣伝費
広告宣伝費とは、「不特定多数に向けた会社や会社の商品・サービスを宣伝するための費用」のことです。
具体的には、TV、インターネット、チラシ、新聞などを通した宣伝活動に係るコストですね。
では、「広告宣伝費」は英語で何と言うのでしょうか?
「Advertising expenses」です。
Advertisingは「広告、宣伝」という意味の名詞です。
Advertising expensesで、「広告宣伝をするための費用」ということですね。
それでは、例文を見ていきましょう。
広告宣伝費とは、会社がテレビ、ラジオ、インターネット、新聞などを通して会社のイメージや商品、サービスを販売促進するために負担する費用のことである。
Advertising expenses are costs a company incurs to promote its image, products and services via television, radio, Internet, newspapers, etc.
旅費交通費
旅費交通費は「出張などで支出した交通費や宿泊費のこと」をいいますね。
英語では、Travel and transportation expensesと表現します。
Travelが「旅行」transportationが「交通」expensesが「費用」という意味です。
例文を紹介しますので、ライティングの参考にしてください。
旅費交通費とは、ビジネスに関連した活動を目的とした出張関係費のことである。
Travel and transportation expenses are costs associated with traveling for the purpose of conducting business-related activities.
賃借料
賃借料とは「建物(オフィスやテナント)、土地、機械、備品などを借りるために定額的に支払うお金」のことをいいます。
英語では、Rent expensesと表現します。Rentは「使用料、賃借料、部屋代、家賃」という意味の名詞です。
「~を貸す、~借りる」という動詞でも使われるので覚えておくと便利です。
では、Rent expensesを使った例文を見てみましょう。
生産に関連した賃借料は製造間接費の一部であり、管理オフィスの賃借料は販管費の一部である。
Rent expenses tied to production are part of manufacturing overhead, while administrative office rent is part of SG&A.
水道光熱費
水道光熱費とは、ご存じのとおり水道代、電気代、ガス代の総称ですね。
個別の英語表現(Water、Electricity、Gas)は有名ですが「水道光熱費」は英語で何と言うのでしょうか?
「Utilities expenses」です。
Utility(不可算名詞)は「効用、有用、有益」という意味です。経済学で使われる専門用語ですね。
一方、複数形のUtilities(可算名詞)は「ガス、電気、水、鉄道などの公表事業」を表します。「複数形」を使う点に注意してください。
つまり、Utilities expensesで「水道光熱費」を表します。
今月の電気代の請求書を受け取ったら、水道光熱費勘定を借方に、未払金勘定を貸方に計上する。
When a company receives this month's electric bill, the utilities expense account will be debited and the accounts payable account will be credited.
租税公課
「国や地方に納める税金(租税)や公共団体への会費や罰金(公課)」を計上する勘定科目を「租税公課」といいます。
例えば、固定資産税や不動産所得税、自動車税、事業税、印紙税などは「租税」に該当し、商工会議所・協同組合・同業者組合などの会費は「公課」に該当します。
租税公課をより詳しく学習したい方は、経営ハッカーさんの記事をご覧ください。
では、「租税公課」は英語で何と言うのでしょうか?
「Taxes and dues」です。
Taxは「税金」です。duesは複数形で「賦課金、会費など」を表します。
dueは「当然そうあるべき」という意味を持つので、複数形の名詞duesで「支払いの義務がある賦課金や会費」をイメージすると覚えやすいかもしれません。
貸倒損失
貸倒損失とは「売掛金や貸付金などの金銭債権が、取引先の倒産などで回収不能に陥ったときに、その回収不能額を損失処理する」ための勘定科目です。
貸倒損失と貸倒引当金の違いに自信がない方は、スキマ時間で簿記2級!さんの記事で復習することをオススメします。
では、貸倒損失は英語で何と言うのでしょうか?
「Bad debts expenses/Uncollectible accounts expenses」です。
Bad debtsは「回収不能なお金、貸し倒れたお金、不良債権」という意味があります。
Uncollectible accountは「回収不能な勘定科目」を表します。
少し難しい会計英語ですが、与信管理部門など債権回収に携わるビジネスパーソンは覚えていて損はありません。
次の例文をスピーキングやライティングの参考にしてください。
我々が商品やサービスを掛けで販売し、顧客が支払いを怠った場合、貸倒償却を認識しなければならない。
Bad debts expenses should be recognized if we deliver goods or services on credit and the customer does not pay the amount owed.
減価償却費
「使用や時間の経過とともに減少する固定資産を規則的に費用化すること」を減価償却といいます。
販売費及び一般管理費に計上されるのは、本社や販売支店などの建物や備品、車両など、製造と直接関係のない償却資産の減価償却費です。
減価償却費は英文会計入門シリーズ第6回「減価償却費は英語でなんて言う?」で丁寧に解説しています。
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【減価償却費】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第6回〜
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研究開発費
「新しい製品・サービスを作り出す、もしくは既存製品・サービスを著しく改良する」ために支出した原材料費や人件費などは「研究開発費」と呼ばれます。
大手製造会社や大手製薬会社の研究開発費が、販売費及び一般管理費を占める割合は他の業種と比較してかなり高いですよね。
企業の財務諸表分析をするにあたって、研究開発費にいくら投資しているか注目する方も多いと思います。
海外企業の財務諸表分析をするのであれば、研究開発費の会計英語は知っておきたいですね。
研究開発費は英文会計入門シリーズ第10回「研究開発費は英語でなんて言う?」で丁寧に解説しています。
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【研究開発費・資産計上・費用計上】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第10回〜
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参考動画
「販売費及び一般管理費」の説明を英語で聞いてみたい方には、ネイティブによる以下の短い動画がおすすめです。3分ほどでサクッと視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=2DOK8aF_VM4
まとめ:本日の復習
- 販売費及び一般管理費は英語で『Selling, general and administrative expenses (EG&A)』
- 広告宣伝費は『Advertising expenses』
- 旅費交通費は『Travel and transportation expenses』
- 賃借料は『Rent expenses』
- 水道光熱費は『Utilities expenses』
- 租税公課は『Taxes and dues』
- 貸倒償却は『Bad debts expenses/Uncollectible accounts expenses』
- 減価償却費は『Depreciation』
- 研究開発費は『Research and development』
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