アート

【ロンドン美術館】テート美術館の見どころ作品10選を解説〜カフェの様子も写真で紹介!〜

2021年1月17日

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英国ロンドン中心部にあるテート美術館(テート・ブリテン)は、16〜20世紀のイギリス絵画を展示する美術館です。

この記事では、テート美術館の見どころを「必見作品10選」として紹介しますので、事前のリサーチにお役立てください!

また、美術館内にあるカフェの様子も写真で紹介します(^^)

テート美術館

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1558-1763年:エリザベス女王1世から産業革命の始まりまで

テート美術館は16世紀以降のイギリス絵画をコレクションしています。

イタリアやフランスと比べて、イギリスは他国から侵略・支配されていた歴史が長く、国として安定し始めるのはエリザベス女王1世の国王即位頃からです

まずは16世紀から18世紀中頃まで作品を紹介していきます!

豆知識

芸術が発展するのは国が平和で安定している時です。イギリスは1558年のエリザベス女王1世の即位まで、ヴァイキングやフランスからの侵略、そして国内の宗教・権力争いが続き、芸術が発展する余裕がありませんでした。

◆参考記事◆【ルネサンス美術】フィレンツェ派とヴェネツィア派!?〜社会人の教養を磨く絵画10選〜

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ジョン・ベッツ『黒い帽子をかぶった男』

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ジョン・ベッツが描いた『黒い帽子をかぶった男』はイギリス16世紀を代表する肖像画です。

絵の特徴は何と言っても、帽子の黒色が「真っ黒!」なことです

また、肖像画の男は斜め45度で遠くを眺めていて、鑑賞者を無視するような印象を与えます。

西洋美術の肖像画は正面像、側面像(ルネサンスより前のイタリア)、3/4正面像(フランドル地方)の3種類に大きく分類されます。

しかし『黒い帽子をかぶった男』はどれにも当てはまらず、そこがジョン・ベッツのユニークな点になっています。

豆知識

西洋美術の肖像画を鑑賞する時は、人物が正面、側面、3/4正面像のどれに該当するか考えてみましょう。

絵画情報

  • 作品:黒い帽子をかぶった男(A Man In a Black Cap)
  • 画家:ジョン・ベッツ(John Bettes)
  • 技法:油絵(Oil on oak)
  • 完成:1545年

作者不明『チャムリー家の女たち』

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この記事で紹介する絵画の中で、唯一の作者不明の絵画が『チャムリー家の女たち』です。

横並びの女性は双子姉妹だと思わせるほど似ていて、赤ちゃんを抱くポーズまで瓜二つです。

しかし、絵画に近づいて注意深く観察すると、右の女性は小鼻の横に少しシワがあり、年上の姉であることが伺えます。

また、赤ちゃんを抱く右腕に注目すると、姉の右肘と右手首には力が入っていて、不器用な一面を覗かせています。

豆知識

絵が描かれたと推測されるのは1600年〜1610年で、1603年にはバージン・クイーンのエリザベス女王が死去しています。生涯独身を貫き、イギリス発展に尽力したエリザベス女王ですが、『チャムリー家の女たち』の作者はエリザベス女王と異母姉メアリーが争いなく幸せに生活することを願っていたのかもしれません。

絵画情報

  • 作品:チャムリー家の女たち(The Cholmondeley Ladies)
  • 画家:不明(Unknown)
  • 技法:油絵(Oil on wood)
  • 完成:1600-10年

メアリ・ビール『若い少女の肖像』

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女性の社会進出がまだ進んでいない17世紀のイギリスで、女性の肖像画家として活躍したのがメアリ・ビールです。

メアリは夫チャールズと一緒に1647年から様々な絵画技法を研究し、研究した技法を使って絵を描き続けたことで有名です。

メアリが研究と描画を始めてから35年後、『若い少女の肖像』を1セッションで一気に描き上げました

絵のモデルは「メアリのアシスタント」という説が最も有力ですが、少女は10代後半くらいの年齢に見えます。

研究熱心だったメアリが経験のない10代後半の少女をアシスタントに起用するとは考えにくいので、誰が本当のモデルのか謎です。

豆知識

17世紀のイギリスは絶対王政と議会制度で揺れた100年間です。そんな激動の時代に、女性の肖像画家として活躍したメアリを支えたのは、夫チャールズと肖像画家仲間たちでした。

絵画情報

  • 作品:若い少女の肖像(Portrait Of A Young Girl)
  • 画家:メアリ・ビール(Mary Beale)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1681年

ウィリアム・ホガース『カレーの門』

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ウィリアム・ホガースは、18世紀のロココ時代のイギリス画家で最も有名な画家のひとりです。

『カレーの門』はフランスの港町カレーの古い門を描いた絵画です。

絵画の中央にはイギリスの富と繁栄を象徴する『肉』描かれ、フランス兵士と聖職者が卑しげに肉を見ています。

門の奥に目を向けると、清く静かに、白い服を来た人が十字架を見上げていて、卑しげに肉を見る兵士と聖職者とコントラストになっています

豆知識

ホガースは風刺画家としても知られています。何を風刺しているかを考えて、友人と意見を交わすと新しい絵の見方に気づくかもしれません!

絵画情報

  • 作品:カレーの門(The Gate of Calais)
  • 画家:ウィリアム・ホガース(William Hogarth)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1748年

1763-1815年:産業革命時代

7年戦争でフランスに勝利したイギリスは、1763年にインドと北米の植民地支配を確立します。

そして、1760年代から産業革命が始まり、ヨーロッパの中心から世界の中心へと躍進していきます。

それでは、18世紀中頃から19世紀初頭の作品を紹介していきます。

ヨハン・ゾファニー『モルダント大佐のコックマッチ』

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ゾファニーはフランクフルト出身のドイツ人画家で、30歳頃からシャーロット女王をパトロンに持ち、イギリスで活躍しました。

ゾファニーは1783年から1789年までインドに滞在し、インド滞在中に『モルダント大佐のコックマッチ』を描きました。

コックマッチ(鶏の決闘)はイギリスでは法律で禁止されていましたが、東インド会社の高官たちは娯楽としてコックマッチを楽しんでいました

イギリス植民地での生活を描写した『歴史画』として貴重です。

豆知識

インドで植民地支配をするイギリス人たちは、イギリス本国から離れた場所ではイギリス法が適用されないと勝手に割り切り、好き放題していたようです。

絵画情報

  • 作品:モルダント大佐のコックマッチ(Colonel Mordaunt's Cock Match)
  • 画家:ヨハン・ゾファニー(Johan Zoffany)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1786年

ジョン・シングルトン・コプリー『ピアソン少佐の戦死』

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イギリス植民地アメリカで生まれ、1776年のアメリカ独立の2年前からロンドンで活躍したのがコプリーです。

絵画はイギリス領ジャージー島におけるイギリスとフランスの戦いの場面を描いています。

1781年にフランス軍がジャージー島を襲撃しますが、イギリス軍はリーダーであるピアソン少佐の指揮のもと、フランス軍を撃退します。

まさにイギリス軍の勝利が確定したその時、フランス軍のスナイパーがピアソン少佐を射殺し、歓喜の瞬間が一瞬で悲劇に変わったのです

豆知識

イギリスとフランスはアメリカ独立戦争で敵対しており、フランスはジャージー島を急襲しました。

絵画情報

  • 作品:ピアソン少佐の戦死(The Death of Major Peirson)
  • 画家:ジョン・シングルトン・コプリー(John Singleton Copley)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1783年

1815-1914年:大英帝国時代

大英帝国時代に入ると、風景画家として日本でも人気のターナーや、ターナーと並ぶイギリス人風景画家のコンスタプルなど、世界的に評価される画家がイギリスからも出てきます。

ジョン・コンスタブル『フラットフォードの水車場』

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ターナーと並んで、19世紀イギリスの風景画家を代表するのがコンスタブルです。

『フラットフォードの水車場』はコンスタブルが37歳で結婚する直前に完成した作品です。

コンスタプルは結婚を機にロンドンへ移動するため、『フラットフォードの水車場』は故郷のサフォークで書き上げた最後の作品としても有名です

豆知識

絵画で描かれているのはコンスタプルの父親が所有していた水車場であり、コンスタプルが幼い頃からずっと見てきた景色でした。

絵画情報

  • 作品:フラットフォードの水車場(Flatford Mill)
  • 画家:ジョン・コンスタブル(John Constable)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1817年

ウィリアム・ターナー『クイーンマブの洞窟』

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シェークスピアの『ロミオとジュリエット』で描かれる「妖精の助産師(クイーンマブ)」をタイトルにした作品です。

宇宙の端にあるクイーンマブの宮殿を、光り輝く百万の星座を無限の色の影で描写したと言われています

70歳になった1845年からターナーは体調が悪くなり、自分の人生が長くないことを悟り、死後に心休める場所として1846年に『クイーンマブの洞窟』を描いたのかもしれません。

豆知識

ターナーは黄色を最も好んで使い、嫌いだった緑色はできるだけ使わないように絵を描いていました。

絵画情報

  • 作品:クイーンマブの洞窟(Queen Mab's Cave)
  • 画家:ウィリアム・ターナー(JMW Turner)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1846年

ジョン・エヴァレット・ミレー『オフィーリア』

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シェイクスピアの4大悲劇のひとつ「ハムレット」の代表的な場面を描いたのが『オフィーリア』です。

デンマーク王子ハムレットはオフィーリアという恋人がいましたが、誤ってオフィーリアの父親を殺してしまい、父親を殺されたオフィーリアが正気を失って溺死するシーンです。

ミレーは絵を描くときに、浴槽に仰向けで寝ることをモデルの女性にお願いし、同じポーズをする日々が4ヶ月続きました

モデルの女性の頑張りもあり、ミレーの『オフィーリア』はとてもリアルで、ミレーの代表作となりました。

豆知識

浴槽の下にはランプを置いて浴槽の水を温めましたが、ランプが切れて女性が風邪を引いた際には、女性の父親が「風邪の治療費を出さないと裁判で訴えるぞ!」と脅したそうです。

絵画情報

  • 作品:オフィーリア(Ophelia)
  • 画家:ジョン・エヴァレット・ミレー(John Everett Millais)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1852年

ジョン・シンガー・サージェント『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』

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テムズ川の畔にある木々とユリの花々の間にぶら下がった中国ランタンからインスピレーションを受けた作品です。

サージェントはイタリアのフィレンツェで生まれ、裕福なアメリカ人の父親に連れられてヨーロッパ中を旅します。

イギリスのロンドンに住み始めたのは20代後半からで、『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』は30歳の時に完成しました。

ランタンの優しい光と、ユリ(リリー)とバラ(ローズ)からの柔らかな芳香が少女たちを包み込んでいるような作品です

豆知識

5歳の娘をモデルとして絵を描き始めましたが、イメージする髪の色と違うとサージェントは感じ、理想の髪の色をしていた知人の娘をモデルに変えました。

絵画情報

  • 作品:カーネション、リリー、リリー、ローズ(Carnation, Lily, Lily, Rose)
  • 画家:ジョン・シンガー・サージェント(John Singer Sargent)
  • 技法:油絵(Oil on canvas)
  • 完成:1886年

テート美術館内のカフェ

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テート美術館で絵画鑑賞を終えたら、美術館内にあるカフェ「Djanogly Cafe」で休憩できます。

ホットドリングやジュースはもちろん、サンドイッチや野菜ボックスも販売されているので、朝の時間に美術館賞をした後にランチするのがオススメです

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ロンドンで食事をすると値段が高いですが、Djanogly Cafeだと£10以下で食事と飲み物をオーダーできます(^^)

カフェテリアには4人がけのテーブルが20くらいあるので、よほど混雑していない限りは座席の心配は必要ありません。

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16世紀〜20世紀のイギリス史

イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスなど、大陸ヨーロッパ諸国と比べてイギリスはヨーロッパの主役になるまで時間がかかりました。

16世紀から19世紀のイギリス史の主な出来事をピックアップし、便宜的に時代を区分してみました。

絵画を深く理解して楽しむために、歴史の流れを理解しておきましょう(^^)

16〜20世紀のイギリス史

  • バラ戦争の終結からエリザベス女王の栄光:1487年〜1603年
    1487年:ヨーク家とランカスター家のバラ戦争が終結、テューダー朝スタート
    1517年:マルティン・ルターが「95ヶ条の論題」で贖宥状に抗議
    1534年:ヘンリー8世が英国国教会を設立
    1556年:血の女王メアリ1世がイングランド王に即位
    1558年:エリザベス1世がイングランド王に即位
    1588年:スペインをアルマダの海戦で撃破
    1603年:エリザベス1世が死去(テューダー朝の滅亡)
  • 絶対王政と議会制度で揺れた100年間:1603年〜1707年
    1603年:ジェームズ1世がイングランド王に即位
    1625年:チャールズ1世がイングランド王に即位
    1629年:チャールズ1世が議会を解散
    1642年:ピューリタン革命が開始
    1649年:チャールズ1世を処刑(王制廃止)
    1660年:チャールズ2世がイングランド王に即位(王政復古)
    1689年:名誉革命後に権利の章典が制定、議会制民主主義が確立
    1707年:グレートブリテン王国の建国(イングランドとスコットランドが合併)
  • ヨーロッパの中心国へ:1707年〜1815年
    1745年:スコットランドがイングランドに反乱するが鎮圧
    1763年:パリ条約でインドと北米の植民地支配を確立
    1776年:アメリカが国家として独立
    1783年:パリ条約で北米の植民地支配を喪失
    1801年:グレートブリテン及びアイルランド連合王国の建国(アイルランドを合併)
    1803年:ナポレオンのフランスに宣戦布告
    1815年:ナポレオン戦争に勝利、スリランカとケープタウンを獲得
  • 大英帝国として世界の中心へ:1815年〜1914年
    1830年:世界初の鉄道がリヴァプール=マンチェスターで開通
    1837年:ヴィクトリア女王が英国王に即位
    1843年:アヘン戦争で清から香港を獲得
    1851年:第1回ロンドン万国博覧会
    1858年:イギリス領インド帝国を設立
    1875年:イギリスがスエズ運河の株式44%を取得
    1901年:ヴィクトリア女王が死去
    1914年:第一次世界大戦が勃発

最後に

いかがでしたか?テート美術館の見どころを楽しんでいただけたら幸いです。

 

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ヨーロッパの長時間移動中は読書がしたい人にもおすすめです。

 

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