こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第3回として、「決算作業・試算表・精算表は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【会計処理・仕訳】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第2回〜
【会計処理・仕訳】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第2回〜
こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...
目次
決算作業は英語でなんて言うの?
いつ時点の決算作業かによって表現が変わります。
例
- 「月次決算作業」…month-end close
- 「四半期決算作業」…quarter-end close
- 「年次決算作業」…year-end close
"close"ではなく"closing"を使うこともあり、単語の最後に"process"や"procedures"が付くこともあります。
イギリスの職場から
イギリスの職場では月次、四半期、年次に関係なく決算作業を「month-end」と呼ぶ人がほとんどです。職場に合わせた呼び方をしましょう。
「年次決算作業を行う」と言いたい場合はどうでしょう?
例
- do the year-end close
- perform the fiscal year-end closing
- run the year-end close process
"fiscal year"は「会計年度」の意味で、動詞の"do" "perform" "run"には「実行する」という意味がありますね。
他には、"close the fiscal year" "close the accounting period"、つまり「会計年度を締める」のような言い方もされます。
あわせて覚えておくと実務で役に立ちますよ!
決算作業の流れを英語で説明できる?
簿記3級程度の知識があれば、決算の全体像を日本語で説明できると思います。
英語のできるビジネスマンになるためには、決算作業の各ステップの英語表現も頭に入れておきたいところです。
それでは一緒に確認していきましょう。
試算表の作成
仕訳および総勘定元帳への転記が正確に行われているかを確認するため、まずは試算表を作成します。
ここで貸借が一致していなければ、何かが漏れてしまっていたり、勘定が間違ったりしているため、具体的な原因を探すことが必要になります。
では、「試算表の作成」は英語でなんと言うのでしょうか?
正解は「calculate an unadjusted trial balance」です。
試算表は「unadjusted trial balance」といいます。
"unadjusted"とは「修正前の」という意味で「アンアジャステッド」と発音し、決算の流れの中で決算整理仕訳が入力される前の状態を指します。
"unadjusted"をもう少し分解すると、最初の"un"は打消し(~ない)の接頭辞、"adjust"は動詞の「調整する」、"ed"は過去分詞の形容詞的用法ということで、「調整されていない」というのが本来の意味です。
"adjust"はビジネス英語でも会計英語でもよく出る単語なので、知らなかった人は覚えましょう。
"trial"とは「トライアル、試し」のことですね。最後の"balance"は会計用語の「残高」を意味します。
イギリスの職場から
イギリスの職場では試算表のことを『TB』と省略して呼んでいます。
決算整理仕訳の入力
決算整理仕訳とは、決算日においてまだ処理されていない要修正項目を最後に修正する仕訳のことですね。
固定資産の減価償却や貸倒引当金の計上、費用や収益の見越し・繰延べなどがあります。
では、「決算整理仕訳の入力」は英語でなんと言うのでしょうか?
正解は「make/record adjusting journal entries」です。
"adjusting journal entries"で決算整理仕訳という意味になります。直訳で「調整する仕訳」と考えれば覚えやすいです。
ちなみに「第2回:会計処理・仕訳は英語でなんて言うの?」という記事で「仕訳」を詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
会計システム上「AJE」と省略されることがありますが、これは"adjusting journal entries"の頭文字を取ったものです。
動詞に"make"を使うということの覚え方としては、「調整する」"make adjustments"と関連付けることをおすすめします。
精算表の作成
試算表に決算整理仕訳を追加して、貸借対照表と損益計算書を作る一連の工程を表にしたものが精算表です。
決算整理仕訳を入力した後、いきなり貸借対照表や損益計算書を作成するとミスが起きやすくなったり、数値の全体的な流れが確認できなくなったりするため、ここで精算表を作成すると言われています。
では、「精算表の作成」は英語でなんというのでしょうか?
正解は「create an accounting worksheet」です。
精算表は「accounting worksheet」と訳します。経理部の人であれば、"accounting"を省略して、"worksheet"だけでも通じるでしょう。
日本語でも「ワークシート」という言葉は使われますので、「決算作業のワークシート表」を連想して覚えましょう。
財務諸表の作成
精算表が確定した後、会社の資産や負債などの状況(財政状態)を表す貸借対照表と、1年間の儲け(経営成績)を表す損益計算書などの財務諸表を作成します。
では、「財務諸表の作成」は英語でなんというのでしょうか?
正解は「create financial statements」です。
"financial statements"で財務諸表という意味になります。直訳で「財務について述べる文書・計算書」と考えれば覚えやすいです。
「第1回:財務諸表は英語でなんて言うの?」という記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
帳簿の締切り
決算作業の最後に、各勘定科目を整理することを帳簿の締切りといいます。
費用・収益の各勘定科目を損益へ振り替えたり、資産・負債の各勘定残高を翌期に繰り越したりすることですね。
では、「帳簿の締切り」は英語でなんというのでしょうか?
正解は「close the books」です。
「帳簿を閉じる」ことをイメージすれば覚えやすいですね。
ちなみに各勘定科目を振り替えたり、翌期に繰り越したりする作業は、"make/record closing entries"と言います。
「(決算業務を)クローズするための仕訳を入れる」ということですね。
参考動画
決算作業に関連する英語表現をもっと学びたいという方は、以下の動画がおすすめです。
英語ネイティブによる6分程度の解説で決算作業の流れをサクッと視聴できます。
まとめ:本日の復習
いかがでしたか?一見難しそうな会計英語も覚え方自体を頭に入れておけば、いざという時に記憶から取り出しやすくなります。
今回は単語量が多めでしたが、少しでも皆さんのお役に立つことができたら幸いです。
- 決算作業は英語で『〇〇-end close/closing』
- 試算表の作成は『calculate an unadjusted trial balance』
- 決算整理仕訳の入力は『make/record adjusting journal entries』
- 精算表の作成は『create an accounting worksheet』
- 財務諸表の作成は『create financial statements』
- 帳簿の締切りは『close the books』
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