
こんにちは。イギリス駐在中の米国公認会計士わだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第37回として「仕損・連産品・副産物は英語でなんて言うの?」という疑問に答えます。
前回の記事「第36回:製造原価報告書を英語で読めるようになろう!」はコチラから。
個別原価計算と総合原価計算

原価計算には大きく分けて「個別原価計算」と「総合原価計算」があります。
個別原価計算とは、受注生産方式をとっている事業に適した製品原価の計算方法であり、原価は費目別に分けられた後、製造指図書ごとに集計されます。
個別原価計算の主な計算手順は次のとおりです。
- 各個別製品に対して製造指図書を発行する
- 個別原価計算表を作成する
- 直接材料費(DM)、直接労務費(DL)及び直接経費を個別原価計算表に記入する
- 製造間接費(FOH)を各個別原価計算表に配賦する
一方、総合原価計算とは、見込生産方式をとっている事業に適した製品原価の計算方法であり、費目別に捉えた原価を、ある一定期間(月)ごとに集計していきます。
原価は材料費と加工費に分けられ、加工進捗度を考慮して計算される点がポイントです。
では、「個別原価計算」と「総合原価計算」はそれぞれ英語で何というでしょうか?
個別原価計算は"job costing"、総合原価計算は"process costing"です。
個別原価計算は、個別製品に投入された各作業(job)の原価をトレースして集計します。
各"job"を個別に把握して原価計算するため、"job costing"と英語で訳します。
総合原価計算は、どの生産プロセス(process)にいくつ仕掛品があるかを基に一括して原価を計算します。
各"process"をベースとして原価計算するため、"process costing"と英語で訳します。
例文紹介
- 個別原価計算は、特注の機械の製作コスト、建物の建設コスト、小ロットの製品コストを算出するのに適している。
Job costing is appropriate for deriving the cost of constructing a custom machine and constructing a building, or manufacturing a small batch of products. - 総合原価計算を利用していると考えられる事業には、石油精製、食品製造、コンピュータ・チップ製造が挙げられる。
Examples of businesses likely to use the process costing method include oil refining, food production, and computer chips production.
仕損品

「仕損品」とは、生産プロセスで生じた不良品のことであり、廃棄されたり、ほとんど価値のない処分価格で売却される劣化品をいいます。
生産プロセスでやむを得ず生じた仕損は「正常仕損」といい、製造過程における回避不可能な費用として製造原価に算入します。
一方、正常仕損以外の仕損は「異常仕損」と呼ばれ、非原価項目として期間費用となるのが一般的です。
では、「正常仕損」「異常仕損」はそれぞれ英語で何というでしょうか?
正常仕損は"normal spoilage"、異常仕損は"abnormal spoilage"です。
「正常」「異常」はそれぞれ"normal(読み:ノーマル)", "abnormal(アブノーマル)"と英語にします。
「仕損」は「ダメにすること、損傷物」という意味の名詞"spoilage"を使います。
"spoilage"は「スポイレッジ」と読み、「ダメにする」という意味の動詞"spoil"の名詞形です。
ちなみに、Google検索で「仕損 英語」を調べると、"defective"や"scrap"、"error"などの英語が出てきますが、"spoilage"は専門的な会計英語です。
ビジネスで会計の話をしているときに「仕損」を英語で言いたいのであれば、"spoilage"を使うのが適切です。
仕損費は、英語で"loss due to spoilage"となります。
例文紹介
- 正常仕損は、一般的に、不可避的で想定されているものだと考えられている。
Normal spoilage is generally considered to be unavoidable and expected. - 異常仕損は、一般的に、回避可能かつ管理可能であると考えられ、費用勘定に計上される。
Abnormal spoilage is generally considered to be avoidable and controllable and is charged to an expense account.
連産品と副産物

同一原料、同一工程から複数の製品が必然的に生産されるとき、その複数の製品を「連産品」といいます。
例えば、原油の精製においては、ガソリン、重油、灯油、軽油などが一緒に生産されますので、これら(ガソリンなど)は連産品に該当します。
また、連産品の中で、明確に価値が低いものは「副産物」と呼ばれます。
副産物は、連結原価(分離点までの共通原価)から控除するというのが基本的な会計処理のため、連産品とはしっかり区別して考えられます。
では、「連産品」「副産物」はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか?
連産品は"joint products"、副産物は"byproducts"です。
連産品の"joint"は「共同の、合同の、共有の」という意味があります。
連産品は同一原料、同一工程から生まれた製品なので、原料と工程を「共有する」製品であることを表しています。
副産物の"by-"は接頭辞で「副次的な、本道から外れた」という意味を持っています。
例えば、迂回経路のことをバイパス"bypath"と言ったりしますね。
副産物は、主製品の加工過程で「付随的、副次的」に得られた製品であることから、"byproducts"と表すと記憶しましょう。
例文紹介
- 連産品の例としては、牛乳からバター、チーズ、クリームを製造することが挙げられる。
An example of joint products is production of butter, cheese and cream from milk. - 連産品と副産物では、会計処理に違いがある。
There is a difference in accounting treatment between joint products and byproducts.
まとめ:本日の復習

- 個別原価計算:Job costing
- 総合原価計算:Process costing
- 正常仕損:Normal spoilage
- 異常仕損:Abnormal spoilage
- 連産品:Joint products
- 副産物:Byproducts
いかがでしたか?
今回の内容が「英語力不足で全然わからなかった…。」という方は、こちらの記事で英語や会計系のオススメの資格を紹介しているので、よかったら覗いてみてください。
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今後も国際ビジネスの場で役立つ英文会計の知識をブログでまとめていきます。
社会人の教養として知っておきたい内容から、「この会計用語をどうやって英語で表現したらいいの?」という実務のお悩みまで幅広く取り扱う予定です。
休日の自己研鑽に遊びに来てもらえると嬉しいです(^^)
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