
こんにちは。イギリス駐在中の米国公認会計士わだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
簿記3級と英検準2級くらいの前提知識があれば読みやすいと思いますが、以下に当てはまる方はどなたも大歓迎です(^^)
- 就職前に英文会計を学んで同学年に差をつけたい「学生」の方
- 社会人の教養として英文会計を身につけたい「専業主婦」の方
- ビジネス英語の一部として英文会計を学びたい、国際ビジネスの場で周りと差をつけたい、英語×簿記で自分の市場価値を高めたい「社会人」の方
この記事では「英文会計入門」第11回として、「見越し・繰延べは英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
前回の記事「第10回:研究開発費は英語でなんて言う?」はコチラから。
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【研究開発費・資産化・費用化】は英語でなんて言う?現役の米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第10回〜
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見越し・繰延べは英語でなんて言うの?
「見越し・繰延べ」とは、決算期を跨ぐ収益や費用を期末日に調整することを言います。
簿記の基本的な問題に決算整理仕訳としてよく出てきますね。簡単に復習しましょう。
「見越し」とは当期にキャッシュの動き(収入や支出)のない取引を、発生主義に則り当期の費用や収益として認識することです。
例えば、請求書の到着していない当期の電気代について「未払電力料(未払費用)」を相手勘定に費用処理することや、まだ代金を受け取っていない利息について「未収利息(未収収益)」を相手勘定に収益を計上することです。
ここがポイント
費用や収益を後のキャッシュの動きを『見越し』て計上する、と覚えましょう。
「繰延べ」は「見越し」の反対です。当期にキャッシュの動き(収入や支出)のある取引について、発生主義の観点からその費用や収益を次期以降の期間に繰り越すことを言います。
例えば、期中に1年分支払った保険料のうち、次期以降のものを「前払保険料(前払費用)」を相手勘定に費用をマイナスする(繰り越す)ことです。
また、期中に1年分受け取った家賃のうち、次期以降のものを「前受家賃(前受収益)」を相手勘定に収益をマイナスする(繰り越す)ことも該当します。
ここがポイント
費用や収益を帰属すべき次の時期に『繰り越す』、と覚えましょう。
具体的なケースや仕訳付きで復習したい方は『簿記・会計library』のコチラの記事をご覧ください。
では、見越し・繰延べは英語でなんと言うのでしょうか?
正解は、見越し=accrual、繰延べ=deferralです。
accrualのカタカナ読みは「アクルーアル」で、一般的な意味は「増加すること」です。
会計の世界では、「発生」という意味で使います。例えば、発生主義をaccrual basis/accrual accountingと表現します。
見越しとは、上記で説明したようにキャッシュの動きに関係なく「発生した」費用や収益を計上することですので、英語では「発生」を表すaccrualをそのまま「見越し」としても使います。
deferralのカタカナ読みは「ディファーラル」で、一般的な意味は「延期、繰延べ」です。
会計の世界では「費用や収益の繰延べ」という意味で使います。
2つの単語は簿記を英語で学ぶうえで重要な単語ですので、例文を見ながら使い方に慣れていきましょう。
例文
- 見越しとは、未だ代金を受け取っていない実現済みの収益や未だ支払っていない発生済みの費用を計上することである。
Accruals mean the recording of revenues that a company has earned but has yet to receive payment for, and the expenses that have been incurred but that the company has yet to pay. - 費用の繰延べは、前もって支払われたお金で後に費用となるものである。
A deferral of an expense or an expense deferral involves a payment that was paid in advance of the accounting period(s) in which it will become an expense.
経過勘定は英語でなんて言うの?
経過勘定とは、「キャッシュ」と「費用・収益」のタイミングのズレを修正する勘定科目です。
未払費用や未収収益といった「見越勘定」と、前払費用や前受収益といった「繰延勘定」の2種類に分けられます。
それぞれ英語でなんと言うのでしょう?
正解は、見越勘定=accrued accounts、繰延勘定=deferred accountsです。
accrueは「発生する」という意味の動詞です。見越勘定をaccrued accounts、つまり「発生した勘定」と表現しているわけですね。
また、deferは「延期する、繰り延べる」という意味の動詞です。繰延勘定をdeferred accounts、つまり「繰り延べられた勘定」と表現しています。
ただ、deferred accountはあまり使われませんし、繰延税金資産/負債勘定(deferred tax assets/liabilities)などと間違われる可能性があります。
そのため、「見越勘定」「繰延勘定」のようなザックリとした言い方ではなく、会話の中では具体的な勘定科目を言った方が正確に伝わるでしょう。
未払費用や未収収益は英語でなんて言うの?
では具体的な見越勘定である未払費用や未収収益は英語でなんと言うのでしょう?
正解は、未払費用=accrued expenses、未収収益=accrued revenueです。
見越勘定のaccruedがそのまま使われているので分かりやすいですね。
仕訳では、未払費用をexpense payableと言ったりするので合わせて覚えましょう。
例文
- 未払費用は見積計上されるため、実際の支払金額とは異なることがある。
Accrued expenses are recorded in estimated amounts, which may differ from the real cash amount paid later. - 未払給料や未払利息は未払費用のカテゴリーに属する。
Salaries payable and interest payable are falling under the accrued expenses category. - その代金を受け取ったら、未収収益を受け取った金額減少させる。
As the payments are received, the accrued revenue account is reduced by the amount of cash received.
前払費用や前受収益は英語でなんて言うの?
次に繰延勘定である前払費用や前受収益を見ていきましょう。
それぞれ英語でなんと言うのでしょうか?
正解は、前払費用=prepaid expenses/deferred expenses、前受収益=unearned revenue/ deferred revenueです。
前払費用のprepaidは「前払いの」という意味です。プリペイドカードの「プリペイド」と同じと覚えましょう。
少し上級になりますが、prepaid expensesとdeferred expensesの違いを知りたい方はAccounting Coachのコチラの英文記事を参考にしてください。
前受収益のunearnedは「獲得されていない」という意味です。「実現していない収益」と考えるとわかりやすいでしょう。
またunearned revenue/deferred revenueには前受金という意味も含まれています。
海外では、前受金と前受収益を区分することがあまり重要ではないことが影響しているようです。
例文
- 会社は当初その支出を前払費用として記録し、使用期間に渡って費用として計上する。
A company initially records the expenditure as a prepaid expense, and then charges it to expense over the usage period. - 前払費用の最も一般的な例は家賃と保険である。
The two most common uses of prepaid expenses are rent and insurance. - unearned revenue(前受収益)はadvance payments(前受金)やdeferred revenue(前受収益)とも呼ばれ、主に発生主義会計の中で使用される。
Unearned revenue is also referred to as “advance payments” or “deferred revenue”, and mainly used in accrual accounting. - 会社が収益を実現したら、借方で前受収益勘定の残高を減らし貸方で売上勘定の残高を増やす。
As a company earns the revenue, it reduces the balance in the unearned revenue account (with a debit) and increases the balance in the revenue account (with a credit).
まとめ:本日の復習
- 見越し・繰延べは英語で『accrual』『deferral』
- 見越勘定は『accrued accounts』
- 繰延勘定は『deferred accounts』
- 未払費用は『accrued expenses』
- 未収収益は『accrued revenue』
- 前払費用は『prepaid/deferred expenses』
- 前受収益は『unearned/deferred revenue』
いかがでしたか?
今回の内容が「英語力不足で全然わからなかった…。」という方は、こちらの記事で英語や会計系のオススメの資格を紹介しているので、よかったら覗いてみてください。
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今後も国際ビジネスの場で役立つ英文会計の知識をブログでまとめていきます。
社会人の教養として知っておきたい内容から、『この会計用語をどうやって英語で表現したらいいの?』という実務のお悩みまで幅広く取り扱う予定です。
休日の自己研鑽に遊びに来てもらえると嬉しいです(^^)
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