英文会計入門

【監査】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第41回〜

2021年12月8日

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こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。

「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています

この記事では「英文会計入門」第41回として、「監査の頻出英語を学びたい」という読者のリクエストにお答えします。

なお、今回の内容はUSCPAの範囲で説明しますので、日本基準とは内容が異なること予めご承知おきください。

◆前回の記事◆【内部統制】の概念を英語で学ぼう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第40回〜

【内部統制】の概念を英語で学ぼう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第40回〜

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監査は英語でなんて言うの?

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「監査」とは、「監督・検査」することをいい、なかでも「会計監査」とは、財務諸表が一般に公正妥当と認められた会計原則に準拠して適正に作成されているかを監督・検査することをいいます。

 

では、「監査」は英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、"audit"です。

 

audit”は、「(会計)監査」という名詞にも、「(会計)監査を行う」という動詞にもなります。

「(会計)監査を行うこと」という動作自体を指す場合には"auditing"を使います。

 

「監査」に関連した次の基本用語を抑えておきましょう。

  • 独立監査人・・・Indipendent Auditor
  • 内部監査人・・・Internal Auditor
  • 監査委員会・・・Audit Committee
  • 監査計画・・・Audit Planning
  • 監査調書・・・Audit Documentation、Working Paper
  • 監査手続書・・・Audit Program
  • 監査証拠・・・Audit Evidence
  • 監査報告書・・・Audit Report
  • 財務諸表監査・・・Audit of Financial Statement
  • 監査基準・・・Auditing Standards
  • 監査リスク・・・Audit Risk

 

 

監査の基本用語を英語で覚えよう

経営者の主張、監査要点って英語でなんて言うの?

財務諸表は「経営者の主張」の集合体であると考えられます。また、監査人は、財務諸表の勘定残高や取引の種類、表示および開示のリスクを評価し、「監査要点」としてその正しさを確認・検証する必要があります。

では、「経営者の主張」や「監査要点」は英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、"assertion"です。

 

日本語で「アサーション」と言うのと同じで英語も"assertion"と表現します。

アサーションには3つの分類があるので、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

期末における勘定残高に関するアサーション

主に貸借対照表(B/S)に関連するアサーションは、「期末における勘定残高に関するアサーション」といい、英語で”Assertions about current balances at the period end”といいます。

「勘定残高」は”balances”、「期末時点の」は"at the period end"と表現します。

「期末における勘定残高に関するアサーション」は次の4要素で構成されます。

  • Existence・・・実在性。資産、負債、純資産が存在すること。
  • Rights and Obligations・・・権利と義務。資産の権利を持っているか、支配していること。また、負債の義務を負っていること。
  • Completeness・・・網羅性。記録すべき資産、負債、純資産がすべて網羅的に記録されている事。
  • Valuation and Allocation・・・評価と配賦。評価や分類が適正で、適切な数値で表示されていること。

 

監査期間における取引の種類及び事象に関するアサーション

主に損益計算書(P/L)やキャッシュ・フロー計算書に関連するアサーションは、「監査期間における取引の種類及び事象に関するアサーション」といい、英語で”Assertions about classes of transactions and events for the period under audit”といいます。

「取引の種類及び事象」は"classes of transactions and events"、「監査期間における」は"period under audit"と英語で表現します。

「監査期間における取引の種類及び事象に関するアサーション」は次の5要素で構成されます。

  • Occurance・・・発生。記録されている取引や事象は実際に発生していること。
  • Conpleteness・・・網羅性。記録されるべき取引や事象はすべて網羅的に記録されていること。
  • Accuracy・・・正確性。数値やデータは適正に記録されていること。
  • Cutoff・・・カットオフ。適正な会計期間に記録されていること。
  • Classification・・・適切な勘定に分類されていること。

 

表示と開示に関するアサーション

主に財務諸表の注記に関連するアサーションは、「表示と開示に関するアサーション」といい、英語で”Assertions about presentaion and disclosure”といいます。

「表示」は"presentation"、「開示」は"disclosure"ですね。

「表示と開示に関するアサーション」は次の4要素で構成されます。

  • Occurrence and Rights and Obligations・・・発生及び権利と義務。開示された内容が「発生」しており、関連する権利や義務が存在していること。
  • Completeness・・・網羅性。開示すべき内容が網羅的に開示されていること。
  • Classification and Understandability・・・分類と理解可能性。適切かつ明瞭に表示・説明されていること。
  • Accuracy and Valuation・・・正確性と評価。情報が公正で適切な評価で開示されていること。

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重要性って英語でなんて言うの?

「重要性」とは、財務諸表の利用者の意思決定に重要な影響を与える「レベル」のことを指します。重要性は、定量的にも定性的にも評価される点に注意が必要です。

 

では、「重要性」は英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、"materiality"です。

 

material”は「材料、原料、生地、資料、データ」という名詞として有名ですが、「重要な、不可欠な」という形容詞の意味もあります。

"materiality"は、「重要な」という形容詞の名詞形で「重要性」という意味になります。

参考までに、監査人の文書化が求められる「重要性」には以下のような内容があります。

  • Materiality for the financial statements as a whole・・・財務諸表全体としての重要性
  • Materiality levels for particular classes of transactions, account balances, or disclosures・・・特定の分類の取引、勘定残高、開示に係る重要性
  • Performance materiality・・・実績重要性

 

誤謬、不正、準拠違反って英語でなんて言うの?

財務諸表の重要な虚偽の表示(material misstatement)は、「誤謬」「不正」または「準拠違反」から生じると考えられています。

「誤謬」は、財務諸表の意図的でない虚偽の表示で、「不正」は財務諸表の意図的な虚偽の表示のことを指します。「準拠違反」は法律や規制、契約等に違反する行為をいいます。

これら虚偽の表示は、次のような要因から発生すると考えられます。

  • 財務諸表作成の基となるデータの収集や処理の誤り
  • 事実の見逃しや誤解から生じる会計見積りの誤り
  • 数値や開示の省略
  • 財務報告フレームワークに準拠しない財務諸表の開示

では、誤謬、不正、準拠違反はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、誤謬は"error"、不正は"fraud"、準拠違反は"noncompliance"です。

 

誤謬は「誤り、エラー」を表す"error"、不正は「詐欺、偽造」を表す"fraud"、準拠違反は"compliance"に打消しの接頭辞"non”を付けて"noncompliance"と表現します。

 

各監査英語の使い分けを例文を見て確認しましょう。

 

例文

  • 誤謬は意図的なものではありませんが、不正は誰かが意図的に偽りのデータを作成することで起こります。
    Errors aren’t deliberate while fraud occurs when someone purposefully produces deceptive data.

 

参考までに、監査人は財務諸表に重大な虚偽の表示がないことにつき合理的な保証(reasonable assurance)が得られるよう「職業的懐疑心」を持って監査を実施することとなっています。

この「職業的懐疑心」は英語で"professional skepticism"といいます。

 

無修正意見、限定意見、不適正意見、意見差控えって英語でなんて言うの?

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監査報告書の意見には、大きく「無修正意見」「限定意見」「不適正意見」「意見差控え」の4パターンあります。(それぞれ日本における「無限定適正意見」「限定付き適正意見」「不適正意見」「意見不表明」に対応します。)

 

無修正意見は「財務諸表がGAAPに準拠して適正に作成されている」と表明する意見です。

一方、無修正意見以外の「限定意見」「不適正意見」「意見差控え」は、修正付き意見とも呼ばれます。

 

限定意見は、「財務諸表の一部に問題はあるが、その影響は限定的である」と表明する意見です。

不適正意見は、「財務諸表がGAAPに準拠しておらず、その影響は広範囲で限定できない」と表明する意見です。

最後に、意見差控えは「意見の根拠となる証拠が入手できなかった等の理由で意見が表明できない」という場合に起こります。

 

では、「無修正意見」「限定意見」「不適正意見」「意見差控え」はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、無修正意見は"unmodified opinion"、限定意見は"qualified opinion"、不適正意見は"adverse opinion"、意見差控えは"disclaimer of  opinion"です。

 

無修正意見の"unmodified"は一見難しそうに見えますが、動詞「修正する」の"modify"(読み:モディファイ)を過去分詞の形容詞的用法"modified"にしたうえで、打消しの接頭辞"un-"を付けた英単語です。

限定意見の"qualified"は「限定された、制限された、条件付きの」という形容詞です。「資格を持っている、適している」という意味もあるので意外とトリッキーな単語です。

不適正意見の"adverse"は、「不利な、有害な、マイナスの、反対の」という負の意味を持つ形容詞です。

意見差控えの"disclaimer"は「放棄、棄権」という意味で、"disclaimer of opinion"「監査人の意見表明を放棄する(差控える)」を表しています。

 

各意見についてより詳しく英語で学習したい方は、Investopediaの記事をご覧ください。

監査意見は難易度の高い英語が並ぶのでややこしいですが、ビジネス英語として使える単語なので、覚えておくと便利かもしれません。

 

参考動画

次のステップとして監査の流れについて英語で学習したい方には、以下の動画がおすすめです。6分ほどの動画でネイティブによる説明がサクッと視聴できます。

 

また、監査の全体の流れを英語で学ぼう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第43回〜では、監査の流れに関する基本用語を解説しているので参考にしてください。

 

まとめ:本日の復習

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  • 監査は英語で「Audit」
  • 経営者の主張・監査要点は「Assertion」
  • 重要性は「Materiality」
  • 誤謬は「Error」、不正は「Fraud」、準拠違反は「Noncompliance」
  • 無修正意見は「Unmodified Opinion」、限定意見は「Qualified Opinion」、不適正意見は「Adverse Opinion」、意見差控えは「Disclaimer of Opinion」

 
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◆次回の記事◆【帳票】や【会計帳簿】は英語でなんて言うの?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第42回〜

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