こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第10回として、「研究開発費・資産計上・費用計上は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【借入金・貸付金】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第9回〜
【借入金・貸付金】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第9回〜
こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 ...
研究開発費は英語でなんて言うの?
研究開発費とは、研究開発に使われた原材料費、人件費、固定資産の減価償却費などのすべての原価のことを指します。
ここでいう研究開発とは、ザックリ説明すると『新しい製品・サービスを作り出すこと、および既存製品・サービスを著しく改良すること』です。
詳しくは、クラウド会計Money forwardの記事(日本基準の説明)をご覧ください。
では、研究開発費は英語でなんと言うのでしょうか?
正解は「Research & Development(costs/expenses)」です。
頭文字を取ってR&Dと省略します。例文を見てみましょう。
研究開発費は営業費用に含まれ、通常損益計算書に計上される。
R&D costs are included in a company’s operating expenses and are usually reflected in its income statement.
国際会計基準では研究開発費の取扱いはIAS38号 無形資産で規定される。
Under International Accounting Standards the accounting for R&D is dealt with under IAS 38, Intangible Assets.
研究開発費の問題は、関連する将来の便益がかなり不透明ということだ。
The problem with research and development expenses is that the future benefits associated with them are sufficiently uncertain.
研究開発費の関連用語
資産計上(資産化)は英語でなんて言うの?
日本基準やUS-GAAPでは研究開発費は基本的に発生時に費用処理します。
しかしIFRSでは、一定の要件がすべて満たされた場合、研究開発費のうち『開発費』の部分は『無形資産』として貸借対照表に計上します。
IFRSにおける開発費資産化の『一定の要件』は以下のとおりです。
- 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
- 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意思
- 無形資産を使用又は売却できる能力
- 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
- 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するため必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
- 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
詳しく知りたい方は、IFRScommunity.com『Development phase(開発局面)』をご覧ください。
では、『資産計上(資産化)』は英語でなんと言うのでしょうか?
正解は「capitalize/record as assets」です。
"capitalize"をGoogleで検索すると「資本化する、大文字で書く」という意味がでてきます。
しかし、会計用語では「ある費用をバランスシートに資産として計上する」を意味します。
IFRSの開発費の会計処理を英語で調べると、よく出てくる単語ですので覚えておくと便利です。
イギリスの職場から
イギリス英語ではcapitalizeの『z』が『s』に変わり『capitalise』と表記します。
例文を通して使い方に慣れていきましょう。
その会社は開発費を無形資産として資産計上(資産化)した。
The company capitalized development costs as intangible assets.
開発費は販売や使用による資産の技術的また商業的な実行可能性が確立された後に資産計上される。
Development costs are capitalised only after technical and commercial feasibility of the asset for sale or use have been established.
もし会社が研究開発費を資産計上しなければ、研究開発費の支出の時期によって純利益は大幅に高くなったり低くなったりする可能性がある。
If a company doesn’t capitalise R&D, its net income can be significantly higher or lower because of the timing of R&D spending.
費用計上(費用化)は英語でなんて言うの?
では、日本基準やUS-GAAPのように費用処理する場合は、英語でなんと言うのでしょうか?
正解は「expense/incur as an expense | write off to the income statement | charge to expense」です。
「費用化する」の英語表現は色々ありますが、一般的なのは"expense"です。
expenseは「名詞:費用」として有名ですが、「動詞:費用計上(費用化・費用処理)する」としてもよく使います。
この英単語は、研究開発費に限らず、何かを損益計算書に費用として認識する場合に使えます。この機会に覚えておくと便利です。
例文を見ていきましょう。
US-GAAPはすべての研究開発費を支出時に費用計上することを要求している。
U.S.GAAP requires companies to expense all research and development expenditures as incurred.
製造間接費は発生時に費用計上する。
Overhead costs are expensed as incurred.
IFRS基準では、会社が研究局面と開発局面を区分できないのであれば、すべてのコストは損益計算書に費用計上されなければならない。
Under IFRS Standards, if a company is unable to distinguish between the research and development phase all costs must be expensed through the income statement.
シンプルにexpenseという動詞を使う以外のパターンも見てみましょう。
すべての研究費の会計処理は、発生時に損益計算書勘定に計上される。
The accounting treatment for all research expenditure is to write it off to the P&L account as incurred.
研究局面のすべての支出は発生時に損益計算書に費用として計上されるべきである。
All expenditure incurred at the research stage should be written off to the income statement as an expense when incurred.
日本基準のコアなルールは、研究開発費は発生時に費用処理されることである。
Under Japanese accounting standards the core rule is that R&D expenditures should be charged to expense as incurred.
IFRSアプローチのいいところは、少なくとも研究開発費のいくらかは損益計算書に費用として認識されるのではなく資産計上されることである。
The benefit of the IFRS approach is that at least some research and development costs can be capitalized instead of being incurred as an expense on the statement of P&L.
まとめ:本日の復習
- 研究開発費は英語で「Research and Development(costs/expenses)」
- 資産計上(資産化)は「capitalize/record as assets」
- 費用計上(費用化)は「expense/incur as an expense | write off to the income statement | charge to expense」
会計英語を書籍で学びたい方には、「会計プロフェッショナルの英単語100」がおすすめです。厳選した重要単語の実務におけるニュアンスレベルまで説明があるのはもちろんのこと、他の関連用語との組み合わせまでカバーしていて便利です。辞書のように1冊手元に置いておくと仕事が捗ると思います(kindle版あり)。
日常的に英文メールを書く方には、新日本有限責任監査法人の「そのまま使える 経理の英文メール」をおすすめします。日常業務の定型的な言い回しパターンを「連絡・依頼・回答」「質問・回答」「クレーム・対応」の場面別に105ケース・525文例紹介しています。困ったときにサッと使えて英文メールを書く時間が短縮できます。
本気で英語力を伸ばすならプログリット
あわせて読みたい
◆次回の記事◆【見越し・繰延べ】は英語でなんて言う?現役の米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第11回〜
【見越し・繰延べ】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第11回〜
こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...