こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第24回として、「無形資産・償却は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【損益分岐点・固定費・変動費・限界利益】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第23回〜
【損益分岐点・固定費・変動費・限界利益】は英語でなんて言う?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第23回〜
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目次
無形資産は英語でなんて言うの?
無形資産とは、建物・構築物・土地・機械装置といった有形固定資産と異なり、「物理的形状のない資産のこと」をいいます。
無形資産の代表例は、ソフトウェア・特許権・商標権・営業権・のれんなどですね。
では、「無形資産」は英語で何と言うのでしょうか?
"Intangible assets"です。
"Intangible"は「実体のない、触れられない、無形の」という意味の形容詞です。
「有形の」という意味の"tangible"に、否定を表す接頭辞"in-"が付いて、"intangible"「無形の」という意味になります。読み方は「インタンジブル」です。
例えば、無形文化遺産は"Intangible cultural heritage"と訳します。
では"Intangible assets"を使った例文を見ていきましょう。
無形資産は、物理的形状のない識別可能な非貨幣性資産と定義されている(IFRS)。
An intangible asset is defined as an identifiable non-monetary asset that does not have physical substance.
一定の基準を満たす場合、会社は無形資産を認識しなければならない。
A company is required to recognize an intangible asset if certain criteria are met.
無形資産の関連用語を覚えよう
日本基準において、無形資産の認識、測定方法に関する規定は、「企業会計原則」に軽く記載されています。
IFRSでは、日本基準より詳しい取り扱いが定められているので、ここからはIFRSの無形資産を理解するうえで重要な会計英語を確認していきたいと思います。
IFRSの無形資産を学習したい方は、EY「IFRS基礎講座」の記事をご覧ください。
原価モデルと再評価モデルは英語で何て言うの?
無形資産の当初測定は、日本基準もIFRSも「取得原価」で行いますが、事後測定は、日本基準とIFRSで考え方が異なります。
日本基準では、無形資産は「取得原価-減価償却累計額-減損損失累計額」を帳簿価額とする「原価モデル」のみが認められています。
一方、IFRSでは、活発な市場によって公正価値が測定できる場合は、公正価値で再測定を行う「再評価モデル」を選択することも可能とされています。
では、「原価モデル」と「再評価モデル」は英語で何と言うのでしょうか?
"Cost model"と"Revaluation model"です。
"Cost"は(取得)原価という意味なので、原価モデルの表現は覚えやすいですね。
"Revaluation"は、「評価」という意味の"Valuation"に、「再び」を意味する接頭辞"re-"を付けて「再評価」を表します。
"Valuation"は、「ヴァリュエイション」と発音し、一般的に「評価、査定、見積り、価値判断」を意味しますが、会計の世界では「企業や資産の現在価値を評価すること」を指します。
例文を確認していきましょう。
原価モデルに従うことを選択するのであれば、無形資産は取得原価から償却費や減損を控除して測定される。
If a company chooses to follow a cost model, intangible assets are held at their cost less amortization and impairment.
再評価モデルを採用し無形資産を再評価したら、その後は再評価後の簿価で償却を行う。
Where a revaluation model is used and an intangible asset is revalued, subsequent amortization is based on the revalued amount.
償却は英語で何て言うの?
有形固定資産は、使用や時間の経過に伴い価値が低下するため、使用期間にわたって規則的に費用化する「減価償却」を行います。
無形資産も同じように費用化するのですが、有形固定資産のように「減価償却」ではなく「償却」という別の専門用語を使います。
では、「償却」は英語で何と言うのでしょうか?
"Amortization"です。
"Amortize"とは、「償却する」という意味の会計英語で使われる動詞です。
"Amortize"の名詞形が"Amortization"で、「アモチゼーション(イギリス発音:アモタイゼーション)」と読みます。
発音が少し難しいですが、この単語は「無形資産の償却」や、「金融資産・金融負債の償却原価法」などで使用される会計英語なので、一度覚えると他にも使えて便利です。
例文を確認し使い方に慣れていきましょう。
償却は、一般的に損益で認識される。
Amortization should generally be recognized in profit or loss.
会社は各報告期間に償却期間や償却方法をレビューすべきである。
A company should review its amortization periods and methods in each reporting period.
耐用年数は英語で何て言うの?
耐用年数とは、「通常の維持管理を行ったときに固定資産が利用できる期間」のことを指します。
IFRSでは、耐用年数はライフライクルや陳腐化などの要因を考慮して決定されます。
では、「耐用年数」は英語で何と言うのでしょうか?
"Useful life"です。
"Useful"は「有益な、役に立つ」、"life"は「寿命」という意味ですね。
2語合わせたUseful lifeで「利用できる期間(=耐用年数)」を表します。
例文を見ていきましょう。
有限の耐用年数を持つ無形資産は、耐用年数にわたって償却されるべきである。
An intangible asset with finite useful lives should be amortized over its useful life.
耐用年数の経過後は、無形資産はゼロもしくは残存価値で表示される。
An intangible asset will be stated at nil or its residual value at the end of its useful life.
除却は英語で何て言うの?
無形資産は「売却」もしくは「将来の経済的便益の流入が期待できない」時に、財務諸表から除却されます。
では、「除却」は英語で何て言うのでしょうか?
"Disposed of"もしくは"Remove"を使って表現します。
"Dispose of"は「~を処分する」という意味の動詞です。
"A is disposed of in the accounting record"で、「Aは会計記録から消去された=財務諸表から除却された」という使い方をします。
"Remove"は「~から除く」という意味の一般的な動詞ですね。
"A is removed from the balance sheet"で、「Aはバランスシート(貸借対照表)から削除された=オフバラされた」という意味になります。
例文を見て使い方を確認していきましょう。
無形資産が将来キャッシュ・フローを生まないのであれば、会計記録から除却されなければならない。
When an intangible asset can no longer generate future cash flow, it must be disposed of in the accounting records.
無形資産を売却した時もしくは、無形資産から将来の経済的便益が期待できない時に、貸借対照表から除却される。
When an intangible asset is sold, or when no future economic benefits are expected from it, it must be removed from the balance sheet.
参考動画
無形資産に関連する英語表現をもっと学びたいという方は、以下の動画がおすすめです。(IFRSにおける無形資産の概要や取扱いを英語で説明しています。)
まとめ:本日の復習
- 無形資産は英語で『Intangible assets』
- 原価モデルは『Cost model』、再評価モデルは『Revaluation model』
- 償却は『Amortization』
- 耐用年数は『Useful life』
- 除却は『Dispose of もしくはRemove』
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