こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第39回として、「仮受金・前受金・前受収益・未払金・未払費用は英語でなんて言うの?」という疑問にやさしくお答えします。
◆前回の記事◆【連結会計】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第38回〜
目次
仮受金は英語でなんて言うの?
具体的な内容や金額が確定していないうちに受け取ったお金のことを「仮受金」といいます。
貸借対照表では、振替先が確定するまでは一時的に流動負債に計上されます。
決算においては、仮受金の内容を精査し、適切な勘定科目へ振り替えることが求められますね。
では、「仮受金」は英語で何と言うのでしょうか?
「Suspense receipt」です。
"Suspense"は「未決定(未解決)の状態、宙ぶらりんの状態」、"receipt"は「受取、入金」という意味です。
つまり直訳で「(振替先が)未定の入金」を表します。
ちなみに、receiptの「p」は発音せず、「レシート」と読むことに留意してください。
例文
- 可能な限り早く適切な勘定科目に振替えるため、仮受金勘定の内容をレビューする。
Review the items in a Suspense Receipt account to shift transactions into their appropriate accounts as soon as possible.
参考までに、仮払金や仮受金のような勘定科目は"Suspense Account"と呼ばれます。
この勘定科目を英語で学びたいという方は、以下のネイティブによる解説動画が10分ほどでサクッと視聴できるのでおすすめです。
前受金は英語でなんて言うの?
仮受金と似たような勘定に「前受金」があります。
前受金とは、「商品やサービスを引き渡しを行う前に、代金の一部として受け取ったお金」のことを指します。
仮受金は、「計上時に振替先や金額が不明なお金」であるのに対し、前受金は「売買契約の代金の一部」で、「振替先は売上勘定」と内容が明確である点が主な違いです。
では、「前受金」は英語で何と言うのでしょうか?
「Advances received」です。
"Advance"とは「前払い、前金」という意味のある名詞です。
"received"は、「受け取る」という意味の"receive"の過去分詞で、Advanceを後置修飾しています。
2語を合わせたAdvances receivedで「前受金」を表します。
他には、Customer advancesやCustomer deposits、Cash advancesという表現も見られます。
例文
- 借方に売掛金10,000ドル、前受金10,000ドル、貸方に売上20,000ドルが計上されています。
Accounts Receivable is debited for $10,000, Advances received are debited for $10,000, and Sales are credited $20,000.
前受収益は英語でなんて言うの?
「前受金」と似た勘定に「前受収益」があります。
これは、一定の契約に従って「継続」して役務の提供を行う場合、まだ提供していない役務に対して受け取ったお金のことを指します。
例えば、来期分のビルの賃貸料を入居者から受け取ったときのお金が該当します。
収益を次期以降に繰り越すため、前受収益は「繰延勘定」とも呼ばれますね。
では、「前受収益」は英語で何と言うのでしょうか?
「Unearned revenue」です。
こちらの会計英語の「覚え方」と「例文」は、第11回「見越し・繰延べは英語でなんて言うの?」で詳しく解説していますので、参考にしてください。
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未払金は英語でなんて言うの?
営業活動以外の取引において、まだ支払っていないお金のことを「未払金」といいます。
例えば、不動産や機械、備品、有価証券などを購入し、後払いで代金を支払うときに使う負債の勘定科目です。
では、「未払金」は英語で何と言うのでしょうか?
「Non trade payables」です。
"Non"は「~ではない」、"trade"は「(営業)取引」、"payables"は「債務」を意味します。
3語を合わせたNon trade payablesで「営業取引以外の債務(=未払金)」を表します。
英文会計入門シリーズ第12回「売上・仕入は英語でなんて言う?」の記事で解説したように、買掛金の会計英語は"Trade payables"です。
それに対し、未払金の会計英語は「Trade以外を扱うため、Trade payables(買掛金)の頭に否定を示すNonを追加する」と考えると覚えやすいかもしれません。
なお、B/S表示科目としては、Accouts payable - otherがよく使われます。
例文
- 未払金とは、公共料金や税金など、会社の営業活動に直接関係のない支払債務のことです。
Non Trade Payables are payables which are not related directly to operating business of the company such as utility bills and taxation. - 支払いが一年を超えることが予想されるのであれば、未払金は固定負債に分類します。
Classify non trade payables as a non-current liability if you anticipate the payment will be over more than one year.
未払費用は英語でなんて言うの?
「未払金」と似た勘定に「未払費用」があります。
これは、一定の契約に従って「継続」して役務の提供を受ける場合、すでに役務提供を受け部分について、未だ支払いをしていないお金のことをいいます。
例えば、支払期日が到来していない借入金の利息などが該当します。
当期は未払いの取引ですが費用は「見越計上」するので、未払費用は「見越勘定」として有名です。
では、「未払費用」は英語で何と言うのでしょうか?
「Accrued expenses」です。
この会計英語の「覚え方」と「例文」は、第11回「見越し・繰延べは英語でなんて言うの?」で詳しく解説していますので参考にしてください。
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参考動画
流動負債の勘定科目について、関連する英語表現を学びたい方には以下の動画がおすすめです。(リスニングに自信のある方向け)
まとめ:本日の復習
- 仮受金の英語は「Suspense receipt」
- 前受金は「Advances receipt」
- 前受収益は「Unearned revenue」
- 未払金は「Non trade payables」
- 未払費用は「Accrued expenses」
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