英文会計入門

【退職給付会計】の会計英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第45回〜

2022年6月30日

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こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。

「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています

この記事では「英文会計入門」第45回として、「退職給付会計で頻出の英語表現を学びたい」という読者からのリクエストにお答えします。

◆前回の記事◆【税効果会計】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第44回〜

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【税効果会計】の会計英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第44回〜

  こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...

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退職給付会計って英語でなんて言うの?

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退職給付会計とは、その名のとおり従業員の労働対価である退職給付に関する会計のことで、具体的には従業員の退職に伴う「退職一時金」や「企業年金」などが対象となります。

 

簿記の中ではなかなか難しい分野の学習となり、実務で退職給付会計に携わっている方は、退職給付に関する会計基準や実務指針などをリファーすることが多いでしょう。

 

では、「退職給付会計」は英語でなんと言うのでしょうか?

 

答えは、「retirement benefit accounting」もしくは「accounting for retirement benefit plans」です。

 

退職は"retirement"、給付は"benefit"、会計は"accounting"とそれぞれ英語にします。

ここで使われる"benefit"は、いわゆるカタカナ用語としてよく使われる「便益」という意味ではなく、「給付金、手当」という意味で使われることに注意してください。

 

例文

  • 従業員不足のため、退職給付会計はアウトソーシングしました。
    Due to a shortage of employees, the accounting for the retirement benefit plans has been outsourced.

 

退職給付会計の頻出英語を覚えよう

確定拠出制度と確定給付制度って英語でなんて言うの?

 

確定拠出制度とは、事業主や加入者が一定の掛け金を拠出し、自らが資産運用を行うことで将来の受取額を決定する年金制度のことです。

たとえ掛け金の拠出額が同じであっても、本人の資産運用の成績次第で将来の受取額が異なるという特徴があります。

具体的には、個人確定拠出型年金(iDeCo)や企業型DCと呼ばれる制度が該当します。

 

一方、確定給付制度とは、本人の将来の年金受取額はあらかじめ約束されており、その資産運用の責任は会社が担う(給付額に届かない場合は会社が不足分を穴埋めする)年金制度のことをいいます。

ここで、将来の年金受取額があらかじめ約束されているというのは、勤務期間や給与などの要素を基に計算式で受取額を求められるということです。

 

ポイントとしては、確定拠出制度は「拠出額」が確定しており、確定給付制度は「給付額」が確定しているという大きな違いがあります。

 

では、「確定拠出制度」と「確定給付制度」は英語でなんと言うのでしょうか?

 

答えは、確定拠出制度が「defined contribution plan」、確定給付制度が「defined benefit plan」です。

 

"defined"は「明確な、定義された、一定の」、"contribution"は「出資、拠出金」、"benefit"は上記のとおり「給付金、手当」、"plan"は「仕組み、方針」という意味です。

 

退職給付関係の仕事をしている人は、「DC」「DB」という略語を日常的に使うと思いますが、それぞれ"defined contribution" "defined benefit"を表しているんですね。

 

例文

  • IFRSにおいては、確定拠出制度を採用する会社は、給付可能な純資産に関する情報および積立方針の説明を開示しなければならない。
    Under IFRS, companies with defined contribution plans shall disclose information regarding net assets available for benefits and a description of the funding policy.

 

退職給付債務、年金資産って英語でなんて言うの?

 

退職給付債務とは、労働提供の対価である退職給付の支払い見込額を現在価値で表した負債です。

また、年金資産とは、退職給付を支払うために会社の外部(信託銀行や保険会社)に積み立てられた資産を指します。

退職給付会計の具体的な勘定の算定方法は複雑なので、詳しく知りたい方はEYの記事を参考にしてください。

 

では、「退職給付債務」と「年金資産」はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、退職給付債務が「(retirement) bnefit obligation」、年金資産が「plan assets」です。

 

上記で学習したもの以外でいうと、"obligation"は「義務、債務」、"asset"は「資産」を意味します。

退職給付債務は、よく「BO」や「RBO」のように省略されます。

 

実務においては、以下3つの退職給付債務は必ず使い分けているので、それぞれの英語表現も確認しておきましょう。

  • 将来の退職給付見込額(予測給付債務)・・・projected benefit obligation (PBO)
  • 現在の累積給付債務・・・accumulated benefit obligation (ABO)
  • 確定給付債務・・・vested benefit obligation (VBO)

 

例文

  • 退職給付債務の金額は、従業員の残存勤務期間、将来の昇給の見込み、従業員の死亡率の見込みなど、多くの前提条件に基 づき、アクチュアリーにより計算されています。
    The amount of retirement benefit obligation is calculated by an actuary, based on a number of assumptions, such as estimated remaining employee service periods, estimated future pay raises, and estimated employee mortality rates.

 

退職給付費用、退職給付引当金って英語でなんて言うの?

 

退職給付会計のメインの勘定科目に「退職給付費用」と「退職給付引当金」があります。

それぞれPL勘定とBS勘定として財務諸表でよく使用されますが、英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、退職給付費用が「retirement benefit expense」、退職給付引当金が「provision for retirement benefits」です。

 

"expense"は「費用」、"provision"は「(負債性)引当金」という意味です。

 

引当金の英語表現に関しては、こちらの記事「引当金って英語でなんて言うの?」も併せて読んでいただくとより理解が深まります。

 

退職給付費用に関しては、"pension expense"と表現することもあります。("pension"は「年金」という意味です。)

 

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勤務費用、利息費用、期待運用収益って英語でなんて言うの?

 

1期間に労働の対価として発生したと認められる費用を「勤務費用」、

期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息を「利息費用(=PBO×settlement rate)」、

年金資産の運用により生ずると期待される収益のことを「期待運用収益」といいます。

 

それぞれ英語でなんと表現するか確認しておきましょう。

 

勤務費用が「service cost」、利息費用が「interest cost」、期待運用収益が「expected return on plan assets」です。

 

特に解説は必要ないと思うので、例文を見て使い方に慣れていきましょう。

 

例文

  • 退職給付費用の計算において、期待運用収益勤務費用および利息費用から控除されます。
    Expected return on plan assets is deducted from service cost and interest cost in the calculation of retirement benefit expenses.

 

過去勤務費用、数理計算上の差異って英語でなんて言うの?

 

会社の退職給付水準の改定などが原因で増加もしくは減少した退職給付債務は「過去勤務費用」、

年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異、及び見積数値の変更等により発生した差異を「数理計算上の差異」といいます。

 

それぞれ英語でどのように表現するか見ていきましょう。

 

過去勤務費用が「prior service cost」、数理計算上の差異が「actuarial gains and losses」です。

 

"prior"は「前の、以前の、過去の」、"actuarial"は「数理計算の」という意味です。

"actuarial"は覚えにくいと思うので、数理業務を専門とする「アクチュアリー」を連想させるといいでしょう。

 

なお、数理計算上の差異については、「退職給付債務」から生じるものを"liability gains and losses"、「年金資産」から生じるものを"asset gains and losses"と呼ぶこともあります。

 

例文

  • 過去勤務債務は、発生時にその他の包括利益として認識され、従業員の勤務期間にわたって退職給付費用として配賦(償却)されます。
    Prior service cost is recognized as other comprehensive income as incurred and will be allocated (amortized) to retirement benefit expense over the service period of employees.

 

償却って英語でなんて言うの?

 

過去勤務費用や数理計算上の差異は、原則的に、平均残存勤務期間以内の一定の年数で毎期償却しなければなりません。

 

では、過去勤務費用や数理計算上の差異の「償却」は英語で何と言うのでしょうか?

 

答えは、「amortization」です。

 

償却に関しては、別の記事「無形資産・償却って英語でなんて言うの?」で解説しているのでよろしければ参考にしてください。(例文も紹介しています。)

 

参考動画

以下の動画は、退職給付費用に関する英語表現の勉強になるのでおすすめです。ネイティブの解説動画が8分ほどでサクッと視聴できます。

 

まとめ:本日の復習

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  • 「退職給付会計」は英語でretirement benefit accounting
  • 「確定拠出制度」はdefined contribution plan、「確定給付制度」はdefined benefit plan
  • 「退職給付債務」はretirement benefit obligation、「年金資産」はplan assets
  • 「退職給付費用」はretirement benefit expense、「退職給付引当金」はprovition for retirement benefits
  • 「勤務費用」はservice cost、「利息費用」はinterest cost、「期待運用収益」はexpected return on plan assets
  • 「過去勤務費用」はprior service cost、「数理計算上の差異」はactuarial gains and losses
  • 「償却」はamortization

 
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◆次回の記事◆【キャッシュフロー計算書】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第46回〜

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