こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第42回として、「いろいろな種類の帳票や会計帳簿は英語でなんて言うの?」という疑問にお答えします。
◆前回の記事◆【監査】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第41回〜
【監査】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第41回〜
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目次
帳票は英語でなんて言うの?
「帳票」とは、会社の取引記録が書いてあるドキュメント全般のことです。
会社の書類は基本的に該当するので、「帳票」の種類は、契約書や明細書、見積書、請求書、依頼書、納品書、領収書、伝票、帳簿など多岐にわたります。
英語で「帳票」に相当する単語を探すのは難しいですが、敢えて表現するのであれば"Business document" "Business form" "Business report" "Business paper"となります。"Business"の部分を"Company(会社)"や"Transaction(取引)"に変えても相手には伝わるでしょう。
ただ、具体的な帳票が頭に浮かんでいる場合は、混乱を避けるためにも、各帳票の具体名を英語で伝えるのがおすすめです。
会計帳簿は英語でなんて言うの?
会計業務に携わる人は伝票や帳簿などの「会計帳簿」を指して「帳票」と呼ぶことがあります。
会計帳簿は、英語で"Account Book"や"Accounting Book"、"Book of Account"といいます。
代表的な会計帳簿の英語表現は以下のとおりです。
- 仕訳帳・・・General Journal
- 総勘定元帳・・・General Ledger
- 補助記入帳・・・Subsidiary Journal
- 補助元帳・・・Subsidiary Ledger
- 現金出納帳・・・Cash Journal
- 固定資産台帳・・・Fixed Asset Ledger
- 商品有高帳・・・Inventory Ledger
- 仕入先元帳・・・Purchase Ledger
- 得意先元帳・・・Sales Ledger
"Journal"と"Ledger"が交錯してわかりにくいですよね。
"Journal"と"Ledger"の違いは、WallStreetMojoの記事(外部英語サイト)が詳しく解説しているので参考にしてください。
一言でざっくり説明すると、Journalは「1次記録"book of original entry"」、Ledgerは「2次記録"book of second entry"」というイメージです。
具体的な帳票の英語表現を学ぼう
会計帳簿以外にも、物品の購入、商品の販売、代金回収、給与支払いなどの企業活動の各プロセスで色々な種類の「帳票」を取り扱いますよね。
ここからは、具体的な帳票の英語表現を学んで行きましょう。
内部統制における「統制のテスト」で使える表現もあるので参考にしてください。
売上・売掛プロセスの帳票
売上・売掛プロセスとは、顧客から商品を受注し、出荷を行い、請求書を発行して会計上の売上処理を行うプロセスのことです。まずはこの過程で取り扱う帳票類を見ていきます。
- 受注伝票・・・顧客からの注文に対して、営業部門が作成する伝票のことです。英語では、"Sales Order"といいます。
- 出荷指示書・・・注文に対して出荷の承認が下りた後、出荷部門が出荷指示を出す書類のことです。英語では"Shipping Document"といい、承認済受注伝票とともに経理部の請求書担当に送られます。
- 請求書・・・経理部門で作成される請求書は、レストランのお勘定である"Check"や"Bill"ではなく、"Sales Invoice"と英語で表現します。
- 返品伝票・・・返品の承認を行う営業部門が発行する伝票のことで、受注伝票の連番が記録されています。英語で"Sales Return Credit Memoranda"といい、直訳は「売上返品債権記録」となります。
- 受領報告書・・・返品の受け入れを記録する書類のことで、英語では"Receiving Report"といいます。
- 売上仕訳帳、売掛金補助元帳・・・売上・売掛プロセスで使われる各種帳簿です。それぞれ英語で"Sales Journal" "A/R Subsidiary Ledger"といいます。
代金回収プロセスの帳票
代金回収プロセスとは、顧客から売掛金の回収を行い、これに伴う会計処理を行うプロセスです。ここでは代金回収プロセスで重要な帳票類の英語表現を見ていきます。
- 送金通知書・・・顧客から送付される小切手がどの請求に対する支払いであるか明示してある通知書のことです。英語では"Remittance Advice"といいます。"Remittance"とは「送金」を指し、"Advice"は「取引上の通知状」を意味します。
- 入金台帳・・・経理部門の売掛金担当が送金通知書に基づいて記帳する現金の帳簿のことです。英語では、"Cash Reciept Journal"といいます。
- 銀行勘定調整表・・・経理部門が銀行勘定調整を行うために使用する帳簿のことです。銀行勘定調整とは、「銀行の残高証明書」と「会社の帳簿」の現金残高を一致させる作業のことです。詳しくは、英文会計第25回の記事をご覧ください。銀行勘定調整表は英語で"Bank Reconciliation Statement"といいます。直訳で「銀行調整表」となります。
- 月次報告書・・・経理部門が取引先との取引を記録しているもので、月次に顧客へ送付することで、当社の売掛金と取引先の買掛金との照合を行います。月次報告書は英語で"Monthly Statements"といいます。
購入・買掛・支払プロセスの帳票
購入・買掛・支払プロセスとは、棚卸資産や備品等を発注、物品の受領、支払及びこれに伴う会計処理を行うプロセスのことです。
- 購入申請書・・・物品購入を希望する部門が部門長の承認を得て、購買部門に提出する書類のことです。通常、連番管理がされています。英語では"Purchase Requisition"といい、"Purchase"は「購入」、"Requisition"は「要求書、申込書、請求書」という意味になります。
- 注文書・・・社内で購入の承認が下りた物品の注文書のことです。通常、3枚綴りとなっており、1枚は発注先、もう1枚は納品受領部門、最後の1枚は経理部門へ送られます。英語では"Purchase Order"といいます。受注伝票を表す"Sales Order"と対の関係になるので、両方併せて覚えましょう。
- 物品受領書・・・受領部門が物品を受領した際に作成する書類のことです。物品の数量は受領部門が独立したカウントを行い、物品受領書に数量を記入します。数量の記入が終わった物品受領書は経理部門の買掛金担当に送られます。英語では、"Receiving Report"といいます。
- バウチャー・・・注文票・物品受領書・請求書を三点セットとして買掛金の存在を証明する書類のことです。日付、連番、相手先、物品名、金額、支払期限、承認者などの情報が記入されています。英語ではそのまま"Voucher"と表現します。
人事・給与プロセスの帳票
人事・給与プロセスとは従業員に対する給与を決定し、勤務時間に応じて給与を支払うプロセスのことです。このプロセスで扱う重要な帳票類は以下のとおりです。
- タイムカード・・・工場従業員の勤務開始と勤務終了を記録するものです。英語では"Clock Card"(直訳:時計カード)といいます。
- 作業時間票・・・工場従業員がどの作業に何時間費やしたかを記録する票のことです。英語では"Job Time Tickets"といいます。
- 給与ファイル・・・従業員別に氏名、勤務時間、基本給などの明細を記録したファイル。給与計算、担当者はタイムカードや作業時間票を基に給与計算を行い、給与ファイルを作成します。英語では、"Payroll register"といい、"Payroll"は「給与」、"Register"は「登録、台帳」という意味です。
- 給与台帳・・・給与計算に関する情報が記録されている書類のこと。英語では"Payroll Journal"といいます。
- 給与小切手・・・従業員別に支払われる給与の小切手のことです。英語では"Payroll Check"といいます。
- 人事記録・・・人事部門が保管する各従業員の人事情報のこと。英語では"Personnel Record"といいます。
最後に
原始書類(原始証憑)の英語表現をもっと学びたい方は、以下のYouTube動画で学習するのがおすすめです。
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