こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。
「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。
この記事では「英文会計入門」第46回として、「キャッシュフロー計算書で頻出の英語表現を学びたい」という読者からのリクエストにお答えします。
◆前回の記事◆【退職給付会計】の頻出英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第45回〜
【退職給付会計】の会計英語を覚えよう!米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第45回〜
こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...
目次
キャッシュフロー計算書って英語でなんて言うの?
キャッシュフロー計算書とは、過去の取引における会社の資金(現金及び現金同等物)の流れを「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3区分に分けて示したものです。
では、「キャッシュフロー計算書」は英語でなんと言うのでしょうか?
答えは、「statement of cash flows」です。
"statement"は「計算書」、"cash flows"は「キャッシュフロー」を意味します。
"statement"は「貸借対照表」の"statement of financial position"、「損益計算書」の"profit and loss statement"もしくは"income statement"でも出てきましたね。
注意点としては、"cash flows"と必ず複数形になることです。(資金の流れ"flow"が複数あると覚えましょう。)
他には"cash flow statement"と呼ばれることもあります。こちらには複数形のsはいりません。
例文
- キャッシュフロー計算書の開示は、例外なくすべての上場会社に要求されている。
The presentation of a statement of cash flows is required of all listed companies, with no exceptions.
キャッシュフロー計算書の頻出英語を覚えよう
営業活動によるキャッシュフロー
「営業活動によるキャッシュフロー」は英語で"cash flows from operating activities"といいます。
営業活動の「営業」は、販売活動(セールス)のみを意味するのではなく、会社の主な事業活動である商品・製品の製造から販売までの一連のサイクルを回すことを指すので"operate(経営する、運営する、操作する)"が使われます。
営業活動によるキャッシュフローに区分されるものを理解しないと、意外と覚えられない会計英語かもしれないですね。
直接法と間接法
キャッシュフロー計算書の最初の区分である「営業活動によるキャッシュフロー」には2種類の作成方法があります。直接法と間接法です。
直接法では、営業活動に関するキャッシュの収入・支出について実際の流れを反映して作成するのに対し、間接法では、損益計算書の税金等調整前利益から、減価償却費などの支出を伴わない費用や見越し繰延べ勘定の調整をして作成します。
直接法・間接法の違いについて、まずは日本語で復習したい方はMoneyForwardさんの記事を参考にしてください。
では、「直接法」「間接法」は英語で何と言うのでしょうか?
答えは、直接法が「direct method」、間接法が「indirect method」です。
ややこしいのですが、"direct"はアメリカ英語で「ディレクト」イギリス英語で「ダイレクト」と発音します。
非ネイティブは好きな方を使えばいいと思いますが、普段話す英語がどちら寄りかを考えて選択した方が相手に混乱を与えないでしょう。
例文
- 直接法では、会社の営業活動の一部における実際のキャッシュフローを表示する。
The direct method shows the actual cash flows that are part of the operating activities of the company. - 間接法では、まず損益を測定し、非資金取引および収益・費用の見越し繰延べを調整する。
The indirect method starts with a measurement of profit or loss and adjusts it for non-cash transactions and deferrals or accruals of income and expense.
直接法の表示科目の例
直接法の表示科目には以下のものが含まれます。
日本語 | 英語 |
営業収入 | Receipts from operating revenue |
原材料又は商品の仕入れによる支出 | Payments for raw materials and goods |
人件費の支出 | Payments of personnel expenses |
その他の営業支出 | Payments for other operating activities |
収入は"receipt(発音:レシート)"、支出は"payment"と表現することは覚えましょう。
間接法の表示科目の例
一方、間接法の表示科目は数が多いので、代表的なもののみ記載します。
日本語 | 英語 |
税引前当期純利益 | Profit before income taxes |
税引前当期純損失 | Loss before income taxes |
減価償却費 | Depreciation |
貸倒引当金の増減額 | Increase (decrease) in allowance for doubtful accounts |
受取利息及び受取配当金 | Interest and dividend income |
支払利息 | Interest expenses |
有形固定資産売却損益 | Loss (gain) on sale of property, plant and equipment |
売上債権の増減額 | Decrease (increase) in trade receivables |
棚卸資産の増減額 | Decrease (increase) in inventories |
仕入債務の増減額 | Increase (decrease) in trade payables |
利息及び配当金の受取額 | Interest and dividends received |
利息の支払額 | Interest paid |
法人税等の支払額 | Income taxes paid |
増減を表す"increase" "decrease"の後ろにくる前置詞は"in"ということを忘れないようにしましょう。
投資活動によるキャッシュフロー
次に投資活動によるキャッシュフロー"cash flows from investing activities"を見ていきます。
投資活動の区分には以下の表示科目が含まれます。
日本語 | 英語 |
有価証券の取得による支出 | Purchase of securities |
有価証券の売却による収入 | Proceeds from sale of securities |
有形固定資産の取得による支出 | Purchase of property, plant and equipment |
有形固定資産の売却による収入 | Proceeds from sale of property, plant and equipment |
貸付けによる支出 | Loan advances |
貸付金の回収による収入 | Proceeds from collection of loans receivable |
直接法の営業活動によるキャッシュフローと違い、収入は"proceeds"、支出は"purchase"と表現します。
名詞"proceeds"は「資産の売却代金」「投資の回収代金」を表す会計英語で、必ず複数形になることに注意が必要です。
例文
- 有形固定資産を売却すると、売却収入によるキャッシュインフローが発生する。
When an item of PPE is sold, there will be a cash inflow from the proceeds of the sale.
財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、英語で"cash flows from financing activities"といいます。
代表的な表示科目は以下のとおりです。
日本語 | 英語 |
短期借入れによる収入 | Proceeds from short-term borrowings |
短期借入金の返済による支出 | Repayments of short-term borrowings |
長期借入れによる収入 | Proceeds from long-term borrowings |
長期借入金の返済による支出 | Repayments of long-term borrowings |
社債の発行による収入 | Proceeds from issuance of bonds |
社債の償還による支出 | Redemption of bonds |
株式の発行による収入 | Proceeds from issuance of shares |
自己株式の取得による支出 | Purchase of treasury shares |
配当金の支払額 | Dividends paid |
投資活動によるキャッシュフローと同じく、収入は英語で"proceeds"と表現します。
一方支出は、借入金の返済であれば"repayment"、社債の償還であれば"redemption(リデンプション)"と表現が異なります。
若干覚えるのが難しい会計英語ですが、キャッシュフローに携わる仕事をしている人は覚えて損はありません。
例文
- 財務活動には、社債の償還にともなう現金支出を含む。
Financing activities includes cash paid to redeem bonds in the company.
参考動画
キャッシュフローに関連する英語表現をより詳しく学びたい方には、以下の動画がおすすめです。ネイティブのリアルな英語を9分ほどの動画でサクッと視聴できます。
まとめ:本日の復習
- 「キャッシュフロー計算書」は英語でstatement of cash flows, cash flow statement
- 「営業活動によるキャッシュフロー」はcash flows from operating activities
- 「直接法」はdirect method、「間接法」はindirect method
- 「投資活動によるキャッシュフロー」はcash flows from investing activities
- 「財務活動によるキャッシュフロー」はcash flows from financing activities
会計英語を書籍で学びたい方には、「会計プロフェッショナルの英単語100」がおすすめです。厳選した重要単語の実務におけるニュアンスレベルまで説明があるのはもちろんのこと、他の関連用語との組み合わせまでカバーしていて便利です。辞書のように1冊手元に置いておくと仕事が捗ると思います(kindle版あり)。
日常的に英文メールを書く方には、新日本有限責任監査法人の「そのまま使える 経理の英文メール」をおすすめします。日常業務の定型的な言い回しパターンを「連絡・依頼・回答」「質問・回答」「クレーム・対応」の場面別に105ケース・525文例紹介しています。困ったときにサッと使えて英文メールを書く時間が短縮できます。
あわせて読みたい
◆次回の記事◆【配当】って英語でなんて言う?米国公認会計士が解説!〜英文会計入門シリーズ第47回〜
【配当】は英語でなんて言うの?米国公認会計士がやさしく解説!〜英文会計入門シリーズ第47回〜
こんにちは。会計英語アカデミー運営者のわだけんです。 「英文会計入門」シリーズでは、英語で簿記や会計を理解したい方向けに、簡潔に分かりやすく英文会計の基本を解説しています。 この記事では ...